南極海の氷河は地球の歴史が記録された「史料」と呼ばれる。厚さが数千メートルにも達する「深部氷河」を取り出し、気候変動など現在地球が直面している困難を解決できる糸口を探すために、極地研究所は今日も研究を続けている。

海洋水産部傘下の極地研究所は、韓国が主導して開発したレーダー技術を用いて南極の厚さ3500mの氷河探査に成功したと5日、明らかにした。厚さが3000m以上の氷河は少なくとも150万年前に形成されたもので、当時の大気の情報などが含まれており、気候変動の研究の重要な資料になると考えられている。

極地研究所のイ・ジュハン博士率いる研究チームは、2018年からこのような氷河探査が可能なレーダー技術の研究を行ってきた。レーダーを使えば氷河層はもちろん、氷河の下の南極大陸の構造なども視覚的に確認できるデータの獲得が可能だ。今回初めてのレーダー探査が成功し、本格的な「深部氷河」の研究も可能になると期待されている。

深部氷河は少なくとも1000m以上の深さに存在する氷河で、深部氷河をボーリングするためには10年以上の長い時間がかかる。そしてこれには目標とする候補地域を正確に選定するための「レーダー探査」が必須だ。極地研究所は今後3年間でさらに探査を進め、本格的な深部氷河の研究に着手する予定だ。

韓国が南極の氷河の研究に進出したのは1988年のことだ。1988年に南極にセジョン(世宗)科学基地が設置されて以来、2019年には初めての砕氷研究船である「アラオン号」が建造され、これをもとに2014年には2番目の南極基地であるチャン・ボゴ科学基地が建てられた。海岸ではなく内陸に位置した基地の位置を土台に氷河を含め、南極の隕石や天文など環境についての研究も進んでいる。

特に今後研究の中心となるのは、韓国が南極の内陸部での研究のために開拓している陸上ルートである「Kルート」だ。Kルートはチャンボゴ(張保皐)基地をベースとして、韓国独自の内陸進出をはかるのが目標だ。1月までに合計2215kmまで開拓が完了し、深部氷河はもちろん、氷河の下が溶けて作られた湖である「氷底湖」など、気候と地球環境の研究に必要なデータが得られると期待されている。

今回の研究のほかにも、張保皐基地は気候の秘密を地道に解き明かしている。2018年には地球温暖化により南極の棚氷が溶けた後に崩壊する過程を世界で初めて究明し、米国・英国と共に「スウェイツ氷河」についての研究を通じて、溶けていく氷河にともなう海水面の変化過程を追跡したりもしている。また、2023年には世界で4番目に厚い棚氷ボーリングの記録を打ち立てるなど、今後の海水面上昇予測の精度を引き上げることに役立つものとみられている。

極地研究所のイ未来技術センター長は「南極の氷河は地球上で古代の気候が最も細かく記録された地球の史料」と話し、「レーダー探査をきっかけに、気候変化に対応するための調査研究を順調に開始できることになった」と語った。
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