ロシアが今年の初め、韓国人宣教師のペク氏をスパイ容疑で逮捕し、現在まで拘留している理由について、さまざまな分析が出ている。ロシアの専門家たちは、ロシアが韓国に対して警告していると分析しており、ユン・ソギョル(尹錫悦)政権は露韓関係をうまくコントロールすべきだと助言している。

ロシア国営タス通信によると13日、ロシア捜査当局は「ペク氏が自身を作家と紹介し、メッセンジャーで国家機密情報を受け取ったことを確認した」と伝えた。

このメディアはペク氏が2020年からロシア極東のウラジオストクで旅行会社「ベルイ・カーメン」を運営していると報道した。ペク氏を知っている宣教団体の関係者たちは、ペク氏がロシア極東地域を基盤に北朝鮮から派遣された伐木工と建設労働者などを助け、脱北民の救出にも関与したと主張している。

これに対して韓国政府と情報当局は、具体的な身元と事件の経緯などに対する言及を一切しておらず、疑問が大きくなっている。

専門家らは、ロシア政府は通常違法な宣教活動をした宣教師は追放したり罰金刑に処すが、「スパイ罪」で拘留するケースは一般的ではないとしている。

韓国外大のチェ・ソンフン教授は「これまで外交官の身分を持った人たちが追放されたり、ロシアと韓国が協議を行ったことはあっても、民間人を拘留したケースはなかった」と述べ、「マスコミを通じて身元を公開したことは、明白に韓国に警告を送っているものとみることができる」と説明している。

続いてチェ教授は「ロシアはこれまで相手国のスパイを逮捕して交換してきた」として「韓国は交換する人がいない。それなら他の目的があるとみるべきだ」と述べ、ロシア側の意図を把握する必要性を提起した。

一部では、今回の事態が報道されたこと自体が、露韓関係の悪化を証拠づけるものだとの主張もある。韓国政府が公式に米国側からウクライナ支援に乗り出し、露韓関係は悪化の一途をたどっているとみられている。

匿名での発言を求めたある専門家は「保守政権だったパク・クネ(朴槿恵)政権も朝鮮半島問題への悪影響を考慮し、2014年のクリミア併合の際、米国によるロシア制裁の参加要求に対し明確な立場を取らなかった。にもかかわらず、米韓関係は影響を受けなかった」と述べ、「尹政権も米国に偏った外交から脱し、実益を追求する戦略的外交を展開しなければならない」と述べた。

2023年、尹大統領は外国の通信社とのインタビューで、「民間人に対する大規模な攻撃が起こった場合や、国際社会で到底見過ごせない大量虐殺が起こった場合、また戦争法に重大に違反する事案が発生した場合は、人道支援や財政支援にとどまることにこだわるのは難しい」と述べており、ウクライナに対する兵器支援の可能性をほのめかしている。

ロシアもこのように態度を変化させた韓国を非友好国に指定し、過去と変わった関係に対してさまざまなルートで遺憾の意を示している。

しかし、今回の事態が長期化すれば、露韓関係の悪化は避けられないものとみられる。また、ロシアの戦争が終わっても、両国の民間交流などにも悪影響を与えかねない。

ホン・ワンソク韓国外大国際地域大学院長は「ロシアは朝鮮半島の平和に役立つことはなく、いつでも妨害する可能性がある」と述べ、「露韓関係が悪化すれば、露北が日本海上で訓練を行い、朝鮮半島に戦争の危機が及ぶ可能性がある。これを防ぐためにも今回の事態をうまく収拾しなければならない」と述べた。

韓国外交部は「現地の公館では韓国国民が逮捕された事実を認知した直後から、必要な領事助力を提供している」として「韓国国民が一日も早く家族のもとに安全に戻ることができることを期待し、そのためにロシア側と必要な連絡を取っている」と発表した。
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