同庁の設立予定地である南東部のキョンサンナムド(慶尚南道)サチョン市では13日、「宇宙産業クラスター」と呼ばれる産業団地を造成する事業の発足式が開かれた。この事業は民間主導の宇宙産業の育成を目的に、慶尚南道(衛星特化地区)、南西部のチョルラナムド(全羅南道、発射体特化地区)、中部のテジョン(大田)市(研究人材開発特区地区)で三角体系を構築するというもの。宇宙に関連する様々な分野の産業を連携させることで、民間主導による宇宙産業の育成の効率と効果が高まると期待されている。
発足式に出席した尹大統領は「2032年に韓国の探査船を月に着陸させ、45年に火星に太極旗(韓国の国旗)を掲げる未来への大きな一歩を踏み出すことになる。宇宙産業クラスターがその道を開くことになるだろう」と述べた。
尹大統領は2022年11月に「未来宇宙経済ロードマップ(行程表)」を発表している。月、火星探査、宇宙人材の養成、宇宙安全保障の実現など、「宇宙強国」に飛躍するため、45年までの6つの政策方向と支援策が示されている。32年に月、45年に火星に自力で宇宙船を着陸させるとする具体的な目標も掲げられた。
このロードマップに沿うように、韓国は近年、宇宙事業で成果を上げている。2022年8月には韓国初の月探査機「タヌリ」が米フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍施設から打ち上げられ、成功した。同年12月には月の周回軌道に入り、月探査ミッションが始まった。昨年5月には自国開発のロケット「ヌリ」が初めて実用衛星を搭載して打ち上げられ、衛星を周回軌道に乗せることに成功した。当時、尹大統領は「韓国が宇宙強国G7(主要7か国)に仲間入りしたことを宣言する快挙」と歓喜。「独自製作した衛星を、独自製作した発射体に搭載して宇宙軌道に乗せた国は米国、フランス、日本、ロシア、中国、インドだけだ」とし、「全世界で大韓民国の宇宙科学技術と先端産業に対する見方が大きく変わるだろう」と期待を示した。
今年1月には「宇宙航空庁」を新設するため、「宇宙航空庁設立および運営に関する特別法案」「宇宙開発振興法一部改正法律案」「政府組織法一部改正法律案」の3つの関連法案が国会を通過した。法案では、宇宙航空庁を科学技術情報通信部(部は省に相当)所属の中央行政機関として設置し、宇宙航空政策、研究開発、産業育成、民間・軍の協力、国際協力などを担当するとした。また、国家宇宙委員会の委員長を国務総理から大統領に格上げし、宇宙産業クラスターに対する支援を強化する方針も盛り込まれている。
宇宙航空庁は尹大統領が先の大統領選当時から訴えてきたもので、尹大統領は関連法案が国会を通過した際、「韓国が宇宙強国として飛躍するための偉大な一歩を踏み出すことになった」と語った。韓国政府は宇宙航空庁の目標として、「革新宇宙航空企業2000社以上の育成」「約50万人の雇用創出」「世界宇宙航空市場のシェア10%達成」を掲げている。
13日に開かれた、前出の「宇宙産業クラスター」の発足式典で尹大統領は、民間主導による宇宙開発の重要性を改めて強調。昨年設立した宇宙ファンドの規模を2倍以上拡大し、スタートアップ(新興企業)が世界的な企業に成長できるよう全面的に支援するほか、45年までに100兆ウォン以上の民間投資を引き出す方針も示した。
尹大統領は韓国が過去に成し遂げてきた「奇跡」とも表現される経済発展に触れながら「私たちは遠い宇宙に向かって大胆に進んでいかなければならない。『ハンガン(漢江)の奇跡』、『半導体の奇跡』に続き、大韓民国の第3の奇跡は宇宙の奇跡になるだろう」と述べた。
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