日韓の賃金逆転の原因は複合的だ。まず日本の場合、バブル経済の崩壊後に始まった景気低迷が2000年代に入っても長期間続いた点が挙げられる。企業の活力が落ちて収益力が弱まったために賃金もその影響を受けざるを得なかったのだ。同じ期間に、半導体や自動車など、輸出主力業種の好業績をベースとして企業の地位が高まり、ダイナミズムも強化された韓国とは相反した様相だ。日本企業がスランプに陥っている間、快進撃を続けた韓国企業の賃金が上がったのは自然な結果と言える。
しかし、問題は生産性だ。韓国の1時間当たりの労働生産性は2022年に49.4ドル(約7367円)で、経済協力開発機構(OECD)平均64.7ドル(約9650円)の76.3%に過ぎず、日本(53.2%)より低い。低い生産性の原因はさまざまなところで見つけることができるが、注目すべきことのひとつは業務への没入度だ。売上高で100位に入る大企業の人事担当者を対象にした調査では、事務職労働者の没入度は平均82.7点にとどまった。8時間働いた場合、約17%の1時間20分を喫煙やネットサーフィン、私的外出など実際の勤務以外のことに費やしていることになる。
報告書では特に、大企業の賃金(588万4000ウォン/約656万円)で韓国が日本(443万4000ウォン/約494万円)を大きく上回ったことに注目している。中小企業では対等な水準である両国の賃金が大企業で格差が開いた。復活を狙う日本企業の反撃が激している状況で、大企業偏重の賃金構造は韓国産業界にとってマイナスになる公算が大きい。青年層の雇用拡大と賃金の両極化解消を急がなければならない理由がここにある。
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