北朝鮮とロシアが急接近したのは、ロシアによるウクライナ侵攻がきっかけだ。ロシアが必要としている砲弾などの兵器を北朝鮮が提供。その見返りにロシアは北朝鮮に偵察衛星をはじめとする先端軍事技術を与えているのではないかと伝えられている。韓国・国防部(部は省に相当)の分析では、北朝鮮がロシアに提供した軍需品はコンテナ約5000個分に上るとされる。
ウクライナ国防省のブダノフ情報総局長は今年1月、英経済紙のインタビューの中で、現在、北朝鮮がロシアにとって最大の武器供給国となっていると指摘。「北朝鮮は大量の砲弾を移送した。北朝鮮の支援がなければ、ロシアにとって壊滅的な状況になっていただろう」と述べた。また、ウクライナのメディアが今月14日に伝えたところによると、ロシアが開戦から現在までに、「火星11型」ミサイルを約50発発射したことが確認された。米ホワイトハウスのカービー戦略広報担当調整官も今年1月、ロシアが北朝鮮から供与された弾道ミサイルでウクライナを攻撃していると指摘している。
北朝鮮とロシアの蜜月ぶりは随所に見られ、昨年7月に、朝鮮戦争の休戦協定の締結から70年となるのに合わせて北朝鮮の首都・ピョンヤン(平壌)の広場で行われた軍事パレードには、ロシアから国防相をトップとする代表団が出席。国防相は金総書記らとともに、ひな壇からパレードを見守った。当時の東京新聞は「中ロ両国の代表団が招かれた中で、ロシアへの異例の厚遇が目立った」と指摘。「核・ミサイル開発を進め、日米韓と対立を深める北朝鮮と、ウクライナ侵攻で兵器不足に悩むロシアとの利害が一致し、蜜月関係を強調したとみられる」と伝えた。
昨年9月に金総書記がロシア極東のボストーチヌイ宇宙基地を訪れ、プーチン大統領と首脳会談を行った。両首脳が会談するのは2019年4月以来のことだった。会談でプーチン大統領が「経済協力や地域情勢などを話し合う必要がある」と述べると、金総書記は「帝国主義と対抗していくために結束を維持できると確信している。両国関係を最重視して発展させていく」と強調。また、ロシアによるウクライナ侵攻を念頭に「ロシアは自らの権利と安全などを守るために正義の偉業を進めている」と支持する考えを示した。また、会談でプーチン大統領は北朝鮮の人工衛星の開発に協力する考えを表明した。金総書記のロシア訪問を伝えた当時の朝鮮中央テレビは「両国関係の強化と発展の歴史において、新たな転換的局面を切り開いた」と伝えた。
今年1月には北朝鮮のチェ・ソニ(崔善姫)外相がロシアを公式訪問し、プーチン大統領と面会した。プーチン大統領が国家元首級でない人物と会談するのは異例のことで、当時、注目が集まった。面会でプーチン氏は早期の訪朝に向け調整を進める考えを示したとされる。実現すれば、2000年7月以来となる。早ければ4月にも訪朝するのではとの見方も出ている。
こうした中、先月、プーチン大統領は金総書記にロシアで大統領の専用車両として使用されているロシア製自動車の高級車「アウルス」を贈った。ロシア大統領府は当時、寄贈理由について「金総書記が(昨年9月)ボストーチヌイ宇宙基地を訪問した際にプーチン大統領がこの車を見せ、金総書記も気に入ったので贈ることを決めた」と説明した。しかし、国連安全保障理事会は北朝鮮に対する制裁決議で、高級車を含む「ぜいたく品」の北朝鮮への輸出を禁じている。
そして今月16日、朝鮮中央テレビは、金総書記がこのアウルスに乗って視察に向かう場面を映像で報じた。金総書記の妹、キム・ヨジョン(金与正)氏は同日、談話を発表し、「金総書記がこの車を使うことは、新たな高い段階で発展しているロシアとの親善の証になる」とロシアとの蜜月ぶりをアピールした。
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