10年前に飲酒運転をして死亡事故を起こしたにもかかわらず、再び飲酒運転をしてアルコール測定を拒否した50代に無罪が言い渡された。適正な手続きが守られない逮捕の後でアルコール測定が行われたためだ。

ウィジョンブ(議政府)地方裁判所ナミャンジュ(南揚州)支院は30日、飲酒測定拒否の容疑で起訴されたA被告(53)に対する宣告公判で無罪を言い渡したと明らかにした。

A被告は昨年2月5日未明、京畿道南楊州市の居酒屋で焼酎1本とビール500ccを飲んだ後、自身の車を運転して帰宅する途中に警察に静止された。

当時、目撃者の通報を受けて出動した警察は、現場でアルコールの測定を試みたが、A被告は警察の要求に応じなかった。

約10年前に飲酒運転をして死亡事故を起こした前歴のあるA被告は、この日も自宅まで約10キロメートルを運転し、飲酒運転を疑って追走して来た目撃者らにとがめられても、引き続き逃走していたことが確認されている。

この日の午前1時10分ごろ、通報を受けて出動した警察官がA被告と対峙している通報者らを引き離し、A被告に対し3回に渡りアルコール測定を要求したが、A容疑者がこれを拒否したため、現行犯で逮捕された。

しかし、A被告側の弁護人は、裁判の過程で一般私人であるA被告が実質的に市民に逮捕された点と、その後警察が身柄を引き継ぐ過程で警察が被告に飲酒運転の容疑で逮捕すると告知したり、現行犯の調書などを作成しなかった点などを指摘した。裁判所側としても違法な逮捕が認められる状況であり、アルコール測定の拒否など以後の行為の違法性を判断できなくなった。

裁判を担当した裁判官はA被告に無罪を言い渡しながらも「飲酒運転で死亡事故を起こしても再び飲酒運転をした被告だが、適正手続きが守られない逮捕の後になされたアルコール測定の要求だったため、無罪を言い渡すしかない。このような事件があるたびに、個人的な良心と裁判官としての良心の間で葛藤が起こる」と複雑な心境を吐露した。

さらに裁判官は「裁判官としての良心は適正手続きの原則に従うことだが、適正手続きの原則ということは文明の時代で要求されること」と述べ「被告が生きようとする野蛮の時代で適正な手続きを守ることが適当なのかは分からない」として懐疑感を表わしもした。

続いて「被告の犯行は少なくとも3年以上の刑を言い渡さなければならないもので、無罪になったからといって被告の罪がなくなるわけではない」として「(被告の)飲酒運転により再びこの法廷で会ったならば、断言するが、その時は法が許容する最高刑を宣告する」と叱責した後、無罪の主文を読み上げた。
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