<W解説>10日に韓国総選挙、現地メディアが指摘する形勢左右のポイント
<W解説>10日に韓国総選挙、現地メディアが指摘する形勢左右のポイント
韓国の総選挙が今月10日に投開票を迎える。先月28日から選挙運動期間に入り、各党が遊説先で支持を訴えている。ユン・ソギョル(尹錫悦)政権の「中間評価」と位置付けられており、少数与党の「国民の力」は安定的な政権運営に向けて第一党を狙う。一方、最大野党「共に民主党」は過半数維持を目指す。

韓国国会(定数300)は一院制で、解散がなく、4年に1度の総選挙で議員を選ぶ。小選挙区で254議席、比例代表で46議席を決める。改選前は「共に民主党」が過半数の158議席を持ち、与党「国民の力」は114議席にとどまっている。選挙権があるのは18歳以上で、今回の有権者数は4年前の前回総選挙(4399万4247人)より28万5864人多い4428万11人。期日前投票は今月5、6両日に行われる。

先月28日から、法律で定められた選挙運動期間に入った。期間中は、指定された壁に候補者のポスターが張られ、各候補は拡声器を使って演説することができる。同日、与野党トップが演説した。

与党「国民の力」のハン・ドンフン(韓東勲)非常対策委員長は、ソウル市内の農水産物卸売市場で党のリーダーとして選挙運動をスタート。「国と市民の運命を左右する選挙だ。韓国が栄えるか衰えるかを決める選挙だ」と強調した。

韓氏は党の支持率低迷などを受けて辞任したキム・ギヒョン前代表の後任として、昨年末、法務部長官(法相)を辞めて党トップの非常対策委員会委員長に就任した。韓氏は大検察庁(最高検)検事長など検察で要職を務めた「エリート検事」で、尹大統領の検察時代からの最側近。次の大統領候補と目される人物だが、自身は国会議員ではなく、今回の総選挙に立候補もしていない。

少数与党の「国民の力」は、これまで予算案や法案の成立に苦慮してきた。今回の総選挙で第1党の座を奪取し、政権の安定化につなげることが最重要課題となっている。

一方、最大野党の「共に民主党」は激しい政権批判を展開している。イ・ジェミョン(李在明)代表は28日、ソウル市内で演説し「国民を裏切った尹錫悦政権を審判する時が来た」とし、「政権審判が韓国の正常化と国民生活再建の出発点」と訴えた。同党は一時、候補者公認をめぐって李代表に近い人物が優遇されたと不満が高まり、党内は混乱した。所属国会議員の離党も相次いだ。しかし、公認候補者が確定して以降は、政権審判を求める世論の支持が広がりつつある。

また、両党とは別に、ムン・ジェイン(文在寅)前政権で法務部長官を務めたチョ・グク氏が率いる新党「祖国革新党」が支持を伸ばしている。物価高騰や尹政権への不満を強める革新~中道系の有権者の受け皿となっており、第3勢力と呼ばれる新党のうちでは最も多くの支持を集めている。チョ氏は先月27日、外国メディア向けの記者会見で、「共に民主党」と選挙後に協力する可能性を示唆した上で、「共に民主党」と合わせて相当数の議席を得ることにより「尹政権に亀裂を入れることができる」と強調した。

チョ氏は2019年9月、検察改革や既得権益打破などを期待され、当時の文大統領から法務部長官に任命された。しかし、娘や息子らを名門大学などに不正入学させていた疑惑などが浮上。わずか1か月ほどで辞任に追い込まれた。チョ氏にはその後もさまざまな疑惑が持ち上がり、当時、追及しても疑惑が絶えないことから「タマネギ男」と揶揄された。検察はチョ氏を起訴したが、当時、その捜査チームを率いていたのが検事総長だった現大統領の尹氏だ。チョ氏は二審で実刑判決を受け、現在、上告中だ。チョ氏は、最終的に有罪となり拘束された場合でも「15万人の党員がおり、党の運営に問題はない」としている。

世論調査会社のリアルメーターによると、同社が1日に発表した世論調査の結果では、政党支持率は、「国民の力」が35.4%、「共に民主党」が43.1%、「改革新党」は4.5%だった。

聯合ニュースは「総選挙までの残りの期間は、大学医学部の入学定員増員を巡る政府と医療界の対立の行方や、候補者らの失言などが形勢を左右するとみられる」と解説した。また、聯合は「投票率も大きな影響を与えそうだ」と指摘。「歴代の選挙では60%以上になれば『共に民主党』、60%以下なら『国民の力』が有利だというのが専門家らの分析だ」と伝えた。

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