韓国1、2位の輸出国である米国、中国の製造業の景気が好調の兆しを見せ、輸出改善への期待が高まっている。米国の3月のISM製造業購買管理者指数は50.3を記録し、2022年9月以来16ヵ月ぶりに基準線(50)を超え、国家統計局基準の中国製造業PMIも50.8へと6ヵ月ぶりに拡大基調に転換した。これを受け、3月の韓国の輸出は半導体などIT品目を中心に、1日平均ベースで前の年の同じ月に比べ9.9%増加した。
今年から本格的に製造業の景気が底入れして改善の兆しを見せ、韓国の輸出が回復しているが、このことをただ喜んではいられない。国際原油価格や銅など原材料価格が乱高下し、米国の強固な経済がFedの金利引き下げのタイミングを遅らせ、ドル/ウォン為替レートが1350ウォン台に上昇しているためだ。
このことを受けて輸入物価に対する負担が大きくなっている。輸入物価は2月に前月比1.2%上昇し、1月(2.5%)に続いて2ヵ月連続で上昇した。韓国が主に輸入しているドバイ原油が3月平均1バレル当たり84.2ドル(約1万2760円)と2月より4.1%値上がりし、為替レートも下がり続けており、3月の輸入物価はさらに上昇する可能性が高まっている。これにより、韓国の国内物価の下落傾向が鈍化する見通しだ。3月の消費者物価上昇率は2ヵ月連続で3%台を記録している。韓国銀行の関係者は「2月の物価予測(年間2.6%)水準を維持しているが、国際原油価格の上昇リスクはさらに拡大しているものとみられる」と述べた。
米国の景気好調による米国の金利引き下げ時期の遅延は、韓国の金利引き下げ時期も遅れる可能性があることを示唆している。連邦準備制度理事会では6月に金利の引き下げを行なうことは容易ではないだろうとの見方が出ている。たとえ6月に金利を引き下げたとしても、年内の金利引き下げ回数が3回から2回以下に減る可能性も排除できない雰囲気だ。
問題は、現在のように為替レートが1350ウォン台に急騰している状況では、韓国銀行が連邦準備制度理事会より先に金利の引き下げを決定することは容易ではないという点だ。韓国銀行は2月の通貨政策方針時のコメントで「主要国の通貨政策と為替レートの変動性など、対内外の政策条件の変化も比較検討してみる必要がある」としているが、これは為替レートが安定すればFedよりも先に金利引き下げを行なう可能性があるという点を示唆したものだ。しかし、欧州などが連邦準備制度理事会よりさらに早く金利を引き下げるとの見通しが出て為替レートが急騰しているため、このような状況が続けば、韓国銀行も金利引き下げの時期が遅れる可能性がある。
NH投資証券のカン・スンウォン研究員は報告書を通じて「5月にFedの金利引き下げシグナルが出ることを前提に韓国銀行も5月上旬の金利引き下げを行なうことを予想しているが、4月の米国雇用指標などを確認した後、韓国銀行の金利引き下げ時期を7月に延期する可能性がある」としている。
これらを総合すると、韓国の国内景気は輸出と内需の格差が拡大する可能性がある。ハイ投資証券のパク・サンヒョン専門委員は「米国の製造業が好転し、韓国の輸出も好調が予想されるが、韓国銀行の金利引き下げ時期が遅れれば、ただでさえ厳しい内需はさらに悪化する見込み」と述べた。
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