前述のように、韓国では旭日旗を日本帝国主義の象徴と見る向きがあり、一部の韓国人たちは、「日本の侵略を受けた韓国などに歴史の傷を想起させる明白な政治的象徴」と主張している。こうしたことから、韓国ではこれまで幾度となく「旭日旗騒動」が起こってきた。2021年に開かれた東京五輪を前にしては、2019年に韓国国会の文化体育観光委員会が、東京五輪の競技会場で旭日旗を持ち込んで応援することなどを禁じるよう、国際オリンピック委員会(IOC)と大会組織委員会に求める決議を採択した。この問題に対しIOCは同年、韓国政府から旭日旗の持ち込み禁止を求める書簡を受け取った際、「五輪で問題が生じた場合はケースバイケースで対応を検討する」と返答。韓国側からは、事実上、旭日旗の使用が認められたものだと反発が上がった。大会組織委員会も「旭日旗のデザインは日本国内で広く使用されているものであり、それ自体が政治的主張や差別には当たらないことから、持ち込み禁止には該当しない」と主張した。その後、東京五輪は新型コロナウイルスの感染拡大により無観客での開催が決まり、当時この決定を報じる韓国メディアの記事の中には、「(競技場で)旭日旗を見ることがなくなったことも幸いだ」と論評する記事も見られた。
旭日旗騒動は近年エスカレートしており、著名人が着ている服の柄や、企業の宣伝看板のデザインなど「旭日旗に似ている」という理由で一部の韓国人が度々問題提起している。最近では、カナダ在住のある韓国人が、バンクーバーの有名なビール会社が新たに発売した缶ビールのパッケージデザインに旭日旗の模様が使われていると主張。会社側に抗議したという。会社は謝罪し、新デザインに変更した。
しかし、こうした批判は極めて偏向しており、日本の立場からすれば到底容認できるものではない。
一方、昨年5月に韓国で行われた多国間の海上訓練では、日本の海上自衛隊の護衛艦が、自衛隊旗の「旭日旗」を掲げて南部のプサン(釜山)に入港した。自衛隊法などは、日本国籍を示すものとして航海中に旭日旗の掲揚を義務付けている。2018年10月に韓国南部・チェジュド(済州島)で開かれた国際観艦式では、韓国は日本に対し、海自の艦船に旭日旗を掲げないよう要請。日韓双方の主張に折り合いがつかず、結局、日本は海自艦の派遣を取りやめた経緯があった。海上訓練での韓国側の対応が注目されたが、ユン・ソギョル(尹錫悦)政権は自衛鑑旗の掲揚について「国際的な慣例」だとして問題視せず、護衛艦は入港した。当時のNHKは「韓国の前の政権が『旭日旗』を問題視した経緯がある中で、日韓関係改善の流れを受けた動きとみられる」と伝えた。
一方、旭日旗に関連して、首都・ソウル市には日本の植民地時代を連想させる象徴物の公共の場所での使用を禁止する条例がある。2021年1月に公布された。この条例をめぐって、与党「国民の力」に所属のソウル市議19人が今月3日、同条例の廃止を発議した。市議たちは「既に市民には反帝国主義の意識が十分にあり、帝国主義の象徴物に対して拒否感を持っているため、条例で規制するのは行き過ぎだ」と主張した。しかし、これには批判が殺到し、同党トップのハン・ドンフン(韓東勲)非常対策委員長も「党の立場に完全に反する」とすぐに火消しに乗り出した。結局、翌日に撤回されたが、韓氏は、当該議員を厳正に対処する方針を示した。
一連の騒動は日本でも報じられており、ネットユーザーからは「勝手に禁止して、勝手に容認して、勝手に揉めている」「勝手に戦犯旗とかいう謎の概念をつくって自分たちで攻撃して非難し合って何をしているんだろう?」などと冷めた声が上がっている。
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