業界によると、サムスン電子は米国からの半導体補助金を受け、米国での追加投資だけでなく国内投資にも力を入れる計画だ。
龍仁には300兆ウォン(約33兆3000億円)をかけて2042年までに710万平方メートル規模の世界最大のシステム半導体クラスターを造成する予定だ。このクラスターには先端半導体の製造工場5カ所を建設し、素材・部品・装備・ファブレス(半導体設計)企業などを150社誘致する。
平澤にも約289万平方メートルの敷地内に6つの半導体ラインを構築している。平沢工場はメモリーとファウンドリーなどのラインが混在する。サムスン電子は正確な投資金額を公開していないが、ひとつの工場に約30兆ウォン(約3兆3300億円)の資金が入る点を考慮すれば、平沢にも約180兆ウォン(約20兆円)を注ぐ計算になる。
大規模な投資プランを滞りなく進めるため、サムスン電子は昨年、半導体事業だけで14兆8794億ウォン(約1兆6500億円)の営業損失を出しながらも、48兆3723億ウォン(約5兆3700億円)を支出し、2022年より投資額を5006億ウォン(約556億円)増やした。サムスン電子はこのような攻撃的な投資を今年も続ける方針だ。サムスン電子は米国で合計11か所の工場を新設する計画だが、米国からの補助金により資金運営に柔軟性が生じ、国内投資にもさらに力を入れることができるようになったと評価されている。
産業研究院のキム・ヤンパン専門研究員は「自国に工場を建設するのが世界的なトレンドの中、今回の米国からの補助金がサムスン電子が韓国国内の投資に力を入れるきっかけになった」とみている。
サムスン電子は2ナノ未満の最先端工程とR&Dは韓国国内に集中するものと予想されている。米国で先端チップを生産せよという現地政府の方針などの影響により、現在建設中のテキサスのテイラー工場では2ナノ製品も生産する予定だが、それより線幅が狭い製品は韓国国内で製造する可能性が高い。もしも技術が流出した場合、競争力を失う恐れがあるためだ。
業界の関係者は「最先端施設は最も安全な韓国国内に作るのが一般的」と語り、「米国は先端チップを自国で生産しろとの方針だが、協議の余地があるだろう」と言及した。
キム専門研究員は「外国に最先端施設を建設して技術が流出した場合、業界を先導する韓国の競争力が消える」と述べ、「技術レベルを分けて開発し、今後施設を移すなど韓国の競争力を守る方案を探さなければならず、米国とも意見を調整しなければならない」と強調した。
サムスン電子は国内外の攻撃的な投資により、先端技術の開発と市場を先導する量産を行い、半導体売上1位の地位を取り戻す目標だ。市場調査機関のオムディアによると、昨年サムスン電子の半導体売上は444億7400万ドル(約6兆8600億円)で3位を記録した。1位は511億9700万ドル(約7兆9000億円)を売り上げたインテルが占め、2位は人工知能(AI)の恩恵を大きく受けたエヌビディアが占めた。サムスン電子は前年度の2022年は1位だったが、昨年の「メモリー寒波」のショックを大きく受けた。
さらに、サムスン電子は攻撃的な投資により、米メモリー企業のマイクロンや中国メーカーのYMTCなどを追い抜き、ファウンドリー部門で1位の台湾のTSMCとの格差を縮める狙いだ。
次世代知能型半導体事業団のキム・ヒョンジュン団長(ソウル大学名誉教授)は「サムスン電子がさらに飛躍するためには、韓国国内で最新技術を開発し、大口の顧客を確保して大量量産しなければならない」と述べ、「最も重要なのは技術だ」と述べた。
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