[協業のない内部競争...売上で並べることも]
「HYBEのマルチレーベルシステムは特定アーティスト・レーベルの依存度を減らしていこうと各レーベルが独立的に運営され、レーベル間の競争と協力が叶うよう設計された」。パク・ジウォンCEO(最高経営者)は去る2月に行われたカンファレンスコールで、エンターテインメント企業ではじめて2兆ウォン(約2000億円)を突破した秘訣として、マルチレーベルシステムを選んだ。公正な競争と協業を通じてHYBE傘下レーベルたちが強固な競争を繰り広げ、売り上げの上昇と音楽的な成就を一緒に叶えたというのが主な内容だ。
現実は違った。内部競争はあったが協力はなく、行き過ぎた独立運営でレーベル間の不通事態が続発した。HYBE傘下レーベル関係者B氏は、「アーティストのカムバック時のダンスチャレンジのための協力はあったが、全社レベルまたはレーベル間の協力や協業はなかった」とし、「むしろ外部事務所と協業がより多いほど、マルチレーベルという言葉は意味はなかった」と指摘した。
レーベル間の売上競争も内部葛藤を育てたという指摘だ。昨年HYBE韓国内レーベルの売上はBigHitMusic(5523億ウォン)、Pledis(3272億ウォン)、ADOR(1103億ウォン)、SOURCE MUSIC(611億ウォン)、BELIFT LAB(273億ウォン)、KOZエンターテインメント(194億ウォン)の順だった。相対的に売り上げの少ないレーベルはHYBE内でも顔色をうかがうほかない状況だ。結局いい音楽ではなく「売れる音楽」を作るほかない構造だ。その過程で他のレーベルで作った源泉IP(知的財産権)を「HYBEレーベルズ」という理由で遠慮なく持ってきて使う場合が頻発し、その結果音楽とスタイルが画一化される結果をもたらした。
これが「ILLIT」の「NewJeans」コピー疑惑を決して軽く見てはいけない理由だ。ミン・ヒジン代表がこのような主張をできたのは、単純な経営者ではなく、直接コンテンツを企画して製作する人物だからだ。「NewJeans」メンバーたちのヘア、メイクアップ、スタイリング、そしてアルバムコンセプト、音楽、ミュージックビデオ、ショートフォームコンテンツに至るまで、ミン・ヒジン代表の手が今の結果物を作り出したのだ。 そのような結果物がミン代表およびADORの同意なしに借用され、ベンチマーキングを越えてコピーレベルに達すると判断し問題提起に乗り出したのだ。 ミン・ヒジン代表の行動は「NewJeans」の製作者として、「NewJeans」の源泉IPを守るための行動なのだ。
HYBE傘下のレーベル関係者C氏は、「『ILLIT』のティーザーが公開された時、内部でも反応が交錯した」と、「ミン・ヒジン代表の経営権奪取疑惑に対して明々白々と調査しなければならないが、『ILLIT』の『NewJeans』類似性疑惑に対しても明確に明らかにしてこそ内部混乱がこれ以上起きないだろう」と話した。
[HYBE CEO「マルチレーベル高度化を通じて改善]
結局、マルチレーベルシステムはHYBEの売上増加および外延の拡張に効果的だったが、無形資産および個人のアイディアが核心であるエンターテインメント業界に導入するには限界があるという点が、今回の事態を通じて明らかになった。 パク・ジウォンCEOは社内書信を通じて、「マルチレーベルを完成させるため多くの試行錯誤を体験してきたが、今回の事案を通じて疑問を持つ方もいるだろう」とし、「マルチレーベルの高度化のためにどんな点を補完しなければならないのか持続的に悩み、改善する」と約束した。
ただ、ADOR事態がHYBEの売上に大きな影響を及ぼさないという見通しが支配的だ。 皮肉なことに、マルチレーベルシステムのおかげだ。 特定アーティストに対する依存度が分散しただけに、売上面で大きな打撃はないだろうという分析だ。 ハンファ投資証券のパク・スヨン研究員は「アーティストラインナップ中に『NewJeans』が排除されるという最悪のシナリオを仮定すれば、今年の売上額および営業利益内の影響は10%を下回ると推定される」として「今回の事態がむしろマルチレーベル体制の堅固さを確認する機会として活用されうる」と話した。
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