「家にいる母が高齢なので、念のためマスクをして出て来ました。」

2日に外来診療のために病院に来ていたパクさん(52)は、マスクのひもを結びながらこのように話した。パクさんは「病院内のマスク着用義務が解除されたことをニュースで見たが、家にいる家族の健康を心配して病院に来る時はマスクをしっかりと着用している」と説明した。

1日に新型コロナウイルスの危機レベルが「警戒」から最も低い「関心」に下がり、病院内でのマスク着用義務が解除された。マスク着用の義務化が始まった2020年11月から3年6ヵ月ぶりに、市民はマスクを完全に外すことができるようになったのだ。しかし、衛生目的などを理由に一部の市民は依然としてマスクを携帯している。若年層の間ではマスクを便利な「ファッション」と認識する傾向も生じた。

この日、ソウル市ソチョ(瑞草)区のソウルソンモ(聖母)病院にはマスクを着用して診療を待つ患者と保護者でいっぱいだった。前日のマスク着用義務の解除にもかかわらず、10人中8人が依然としてマスクを着用していた。病院で業務にあたる職員たちもやはりマスクを着用していないのは10人に1人程度だけで、大部分がマスクを着用して業務を行っていた。

ソウル聖母病院で建物の案内などをしている職員のAさんは「マスクの着用義務が解除されても、マスクを外している人はそんなに多くないように思う」と語り、「マスクを外してもいいが、なぜか患者が白い目で見ているような気がしてマスクをつけている」と説明した。

マスクをつけているほとんどの患者と保護者は、本人または家族の健康が心配なためだと口をそろえている。妊婦のBさんは「病院にはどうしても患者が集まるので、さらに気をつけなければならない」と語り、「もしも新型コロナウィルスや風邪のような病気にかかったら、子供にも感染するのではと心配だ」と打ち明けた。老母と病院を訪れていたノさんさんは「新型コロナウイルスの心配がかなりなくなったと言うが、もしも感染するととても高齢なので(心配だ)」と語り、「マスクがもどかしいと言うが、それでも必ずつけるようにと言った」と話した。

病院内でのマスク着用義務が解除されたことを知らなかった患者もいた。外来診療を受けに来院していたカンさん(35)は、「病院に来たが、マスクをしていない人がいてびっくりした」と語り、「案内デスクに行って職員に聞いてみたら、マスクをしなくてもいいと言っていた。それでもせっかく持って来たので外さずにいる」と話した。

屋外でのマスク着用義務と室内でのマスク着用義務が解除されてからそれぞれ18ヶ月と15ヶ月が過ぎたが、依然としてマスクをつけた市民が多い。特に不特定多数の人に会わなければならない職業の人々は、習慣的にマスクを着用していると語った。インチョン(仁川)市東区で個人タクシーをしているキムさん(62)は「どんなお客さんが乗って来るか分からないので、必ずマスクをつけている」と語り、「運転手がマスクをつけていれば、お客さんも安定感を感じるのではないか」と話した。

健康・衛生目的以外の用途でマスクを使用する市民もかなり多かった。若い世代を中心に顔を隠したいとか、関心を持たれたくない人たちはマスクを愛用しているという。ある食品会社に勤務しているソンさん(33)は、「気分が良くないことがあったり、化粧をしにくい時にマスクをよく使う」と語り、「マスクをしていない時は表情を作るのが大変だったが、マスクを着用していると自然な表情でいられる」と話した。

ソウルのある大学に通うイさん(26)も「マスクを着用すると、他の人に比べてあまり注目されないように思う」と語り、「他人から関心を受けたくないので、マスクをよく着用する方だ」と説明した。

専門家らは、新型コロナウイルスのパンデミック以降、マスクが有用なアイテムとして定着したとみている。ソウル大学社会学科のソ・イジョン教授は「新型コロナウイルスの感染拡大期以降、呼吸器疾患の流行などが重なり、有用性が立証されたマスクの着用が一般化した」と述べ、「もうひとつの側面は、一種のファッションや社会的側面での役割を持つようになった」と説明している。
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