李基植庁長=(聯合ニュース)
李基植庁長=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国兵務庁の李基植(イ・ギシク)庁長が、五輪やアジア大会、国際コンクールなどで優秀な成績を収め国威発揚に寄与した人が通常の兵役の代わりに芸術・体育要員として代替服務ができる制度の廃止の可能性に言及した。

 李氏はこのほど行った聯合ニュースのインタビューで「芸術・体育要員を含む補充役(兵役特例)制度は導入当時に比べ時代環境、国民の意識、兵役資源(兵役対象者)の状況などの側面で多くの変化があった」としながら、廃止の可能性に言及した。

 政府は国防部、兵務庁、文化体育観光部など関係官庁が参加するタスクフォース(TF)を今月中に設置し、年内に兵的特例制度改善策をまとめ、発表する予定だ。

 兵役特例制度により代替服務が認められるのは芸術・体育要員のほか、国家産業発展のために研究機関で勤務する専門研究要員や企業で勤務する産業技能要員、公共医療分野で勤務する公衆保健医師などがある。

 専門研究要員、産業技能要員、公衆保健医師は社会的な必要性があり導入されたが、芸術・体育要員は個人の成果に対する褒賞であるため兵役の義務履行における公正性の側面から廃止すべきだとの指摘が以前から出ていた。

 現行の兵役法は、▼五輪3位以上の入賞者▼アジア大会1位の入賞者▼国際芸術コンクール2位以上の入賞者▼国内芸術コンクール1位の入賞者――らは芸術・体育要員として代替服務ができるよう規定している。芸術・体育要員として服務する場合、文化体育観光部長官の指揮・監督の下、兵務庁長が定めた該当分野で34カ月服務する。芸術要員の特例が認められるコンクールは昨年の36大会から今年2月に35大会に縮小された。

 李氏は芸術・体育要員として代替服務する兵役特例について「なくなるかもしれない。まだ決まっていないが、さまざまな方策があり得る。どれが最適であるかという基準は兵役の義務の公正性と国民目線」と述べた。

 「アジア大会などで入賞したからといって基礎軍事訓練を受けた後、補充役とされるのは困るという考えか」との質問に対し「多くの国民がそのように考えているのではないか」と答えた。芸術・体育要員としての代替服務は「完全に(個人の成果に対する)褒賞」という意味合いで導入されたのであり、「五輪やアジア大会での金メダル獲得が国家の地位を高めることだった過去の時代に作られた制度だが、それが今も必要かということだ」と述べた。

 李氏は人気グループ、BTS(防弾少年団)のメンバー全員が兵役に就いたことについて、兵役の義務履行の公正性という側面で「非常に肯定的なシグナルを発した」と評価した。大衆文化は兵的特例の対象外となっているため、BTSなど大衆文化で国威発揚に寄与したアーティストは芸術・体育要員としての代替服務が認められない。

 李氏は、BTSのメンバーが熱心に服務している姿を国民が見守っているとし、メンバー全員が兵役の義務を終え、活動を再開すれば「さらに人気が高まるだろう」と見通した。

 一方、兵役資源不足に対応するための女性徴兵制導入については「検討していない」とし、「導入は時期尚早であり、韓国社会がまた別の(男女)対立に陥る可能性があるため慎重に判断すべきだ」との見解を示した。

 徴兵制から募兵制への転換については「われわれが必要とする兵力を安定的に確保できるかどうかが最優先の前提条件だ」とし、欧州などで冷戦後に募兵制に転換した国の一部で兵役資源の確保が困難になり、徴兵制を再導入する動きがあることは示唆する点が大きいと述べた。


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