聯合ニュースが4日、伝えたところによると、北朝鮮のある月刊誌の今月号は、首都・ピョンヤン(平壌)にある博物館のレストランで提供されている平壌ビビンバを紹介したほか、高麗を建国したテジョワンゴン(太祖王建)創建の開国寺跡の石灯などの観光情報を掲載した。平壌ビビンバは朝鮮王朝後期の学者・イ・ギュギョン(李圭景)が平壌冷麺とともに平壌の名物として紹介したほど代表的な北朝鮮料理だ。
北朝鮮は新型コロナの大流行を受けて、感染拡大初期の2020年1月末に早々と国境を封鎖。ウイルスや感染者の流入を徹底的に阻止しようとした。世界各国に感染が広がる中、真偽は不明なものの北朝鮮は長らく国内に感染者は一人もいないと主張し続けた。しかし、一昨年5月、感染者の確認を初めて発表した。北朝鮮の国営、朝鮮中央通信は当時、「2020年2月から2年3か月間にわたって強固に守ってきた非常防疫戦線に穴が開く国家最重大の非常事件が起きた」と報道。それまで、「感染者ゼロ」を主張し続けてきただけに、この発表は世界に衝撃を与えた。
一昨年1月、北朝鮮は国境封鎖措置を一旦は解除したものの、前述のように感染者が初めて確認されたことを受けて再び封鎖。物流が滞り、頼みの綱である備蓄米も一気に減る事態となった。これにより、住民たちは飢えに苦しみ餓死者が相次いでいるとも伝えられた。
徹底した国境管理で、人・物の出入りを厳しく制限してきた北朝鮮だが、昨年7月の朝鮮戦争の休戦協定の締結から70年の記念行事にはロシアの国防相や中国共産党の政治局員らを招くなど、徐々に人の往来を再開させるようになった。8月には北朝鮮国営の高麗航空が、ピョンヤン(平壌)と北京の間、ロシアのウラジオストクの間で運航を再開させた。北朝鮮が国際航空便を運航するのは約3年半ぶりのことだった。旅客機には国境封鎖で中国やロシア国内に足止めされていた北朝鮮の人民が、帰国するために続々と搭乗した。さらに9月下旬には、入国後2日間の隔離措置を取ることを条件に外国人の入国を許可した。
そして、今年2月9日、ウラジオストクからロシア人の団体旅行客が搭乗した高麗航空便が北朝鮮に到着した。北朝鮮が昨年8月にコロナ対策の国境封鎖を解除して以降、初めて迎える外国人団体旅行客だった。これを機に、北朝鮮が外国人観光客の受け入れを本格化させるとの見方が広がった。
北朝鮮は現在、前述のように観光情報の発信に力を入れているほか、今月2日には中国政府の奨学生として、41人の留学生が北朝鮮に入国した。これを発表した在北朝鮮中国大使館は「コロナ禍後、外国から公的に派遣された留学生が北朝鮮に入国した初のケース」とし、「中朝間の留学交流のプロジェクトが正式に回復した」と説明した。同大使館によると、私費留学生45人も最近、北朝鮮に入国し、留学生活を始めたという。聯合ニュースは「近く中国人観光客にも門戸を開くのではないかとの見方が出ている」と伝えた。
外国人の受け入れに積極的に乗り出し始めている北朝鮮だが、その狙いは外貨獲得のためとみられている。
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