ネイバーに向けた日本政府による「LINEヤフー」持分売却の圧迫が長期化しているにもかかわらず、韓国国内のベンチャー企業やスタートアップ企業は日本への進出を目指している。日本政府がスタートアップ企業への投資を大幅に増やし、両国間の民間交流も活発になってきている。ただし、LINEヤフーの強奪騒動以降、日本市場に対する不安感が大きくなっているため、韓国企業の技術を奪われることに対し警戒しなければならないとの指摘も出ている。

投資業界によると、韓国と日本両政府は両国のスタートアップ生態系の活性化に向け、1億ドル(約156億円)規模の共同ベンチャーファンドを設立した。韓国のファンドと日本政府の投資機関である産業革新投資機構(JIC)と民間投資家などが出資して設立された今回のファンドは、両国の政府機関が共同で設立した初めてのベンチャーファンドという点で大きな意味を持つ。

このファンドでは少なくとも500万ドル(約7億8000万円)以上を韓国企業に投資することが義務付けられている。特に投資需要が高い人工知能(AI)とブロックチェーン、Eコマース、サービス型ソフトウェア(SaaS)などを中心に投資が行われる予定で、日本進出を夢見る韓国国内のスタートアップ企業にも大きな力になる見通しだ。

政府レベルでの協力だけでなく、民間のベンチャーキャピタルとスタートアップ企業間の交流も活発になっている。アジア最大規模の日本スタートアップコンファレンス「SusHiテック東京2024」や「D-DAY」などのイベントに韓国国内のスタートアップ企業が参加し、日本企業との面談を行った。世界47都市で429企業が参加して開催されたSusHiテック東京2024にはロッテベンチャーズ・シナン(新韓)ベンチャー投資・ソプン(sopoong)ベンチャーズなどのベンチャーキャピタルなども参加し、現地の市場調査に乗り出した。

日本がベンチャー投資業界の注目を集める市場に浮上し、韓国国内のベンチャーキャピタルも日本投資に関心を持ち、投資を本格化している。特にオープンAIやグーグル、マイクロソフトなどのグローバルビッグテックが日本に拠点を設け、兆単位の投資を計画していることから、自然とスタートアップ企業とベンチャーキャピタルも日本に集まっている。2022年に生成型AIチャットボット「チャットGPT」を発表し、一気に「AIの第一人者」になったオープンAIは、4月に東京に初の拠点を設立した。マイクロソフトは日本のAI分野に29億ドル(約4530億円)を投資する予定だ。

日本のベンチャー市場が急激に浮上したのは、日本政府が2027年までにスタートアップ企業への投資を現在の10倍である10兆円に増やすことを決めたことと関係がある。日本のベンチャー企業はこれまで革新を重ねながら成長してきた。大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の「日本のスタートアップ政策と市場機会」と題された報告書によると、2013年には877億円だった資金調達規模は2022年には1兆1386億円と10倍以上に増えた。

韓国国内のベンチャー市場の低迷期が長くなるにつれ、日本市場を好機と考える企業が多くなり、今後の技術奪取などに対して警戒すべきだとの声も高まっている。最近、日本の総務省が行政指導を通じてLINEヤフーに資本関係の再検討を含めた経営体制の改善を要求し、ネイバーにLINEヤフーの持株会社の持分売却を迫る事態が起きた経緯がある。

ある投資業界の関係者は「韓国国内のスタートアップ企業が生存のために日本市場を目指している状況で、一連の事態が投資の誘致を行う上で否定的な影響を及ぼすのではないかと懸念する見方がある」と述べた。

中小ベンチャー企業部のオ・ヨンジュ長官も、10日に「日韓ベンチャー・スタートアップ投資サミット2024」に参加するために東京を訪問し、韓国の記者団に対し「海外に進出した韓国国内にスタートアップ企業が不当な待遇を受けることは絶対にあってはならないことだ。そのような事態が発生しないよう、しっかり対応していく」と述べた。
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