裁判所は、有罪の根拠となった崔さんの捜査機関と法廷での供述をいずれも不法拘束によるものと判断し、証拠として認めなかった。
また、公訴事実の中で崔さんが北朝鮮の指令を受けるために韓国入りしたという点について証拠が不足しているとしたほか、国家機密を漏えいした罪についても対象となった情報を国家機密と認めるには足りないと説明した。
裁判官は、崔さんが国家暴力の犠牲になった事件であり、重大な人権侵害があったと認めた上で、「本来の役割を果たせなかった韓国司法府の一員として深く謝罪する」と述べた。
在日韓国人2世の崔さんは1973年に韓国を訪れたが、陸軍保安司令部にスパイの疑いをかけられて連行され、拷問の末に「北から指令を受けた」などと供述。裁判所は74年に懲役15年を言い渡し、崔さんは特別赦免(恩赦)を受けて釈放されるまで6年間獄中生活を送った。
崔さんの死後に事件を知った遺族が20年に裁判所に再審請求を行い、ソウル高裁は昨年再審を認めた。
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