水中生物の呼吸に必要な酸素。蒸し暑さによって海水の循環ができなければ、海底の水は酸素が不足する。このような海水の酸素不足に対する懸念が気候変動とともに高まっている。

海洋水産部国立水産科学院は22日から23日にかけて行われた現場調査で、今年初の「酸素不足水」が南海岸のチネ(鎮海)湾で発見されたと発表した。酸素不足水は海水に溶け込んでいる酸素濃度が3mg/L以下の水塊で、魚や貝類の呼吸活動を妨害する。今年初めて発見された酸素不足水の酸素濃度は1.55mg/Lから2.83mg/Lで、鎮海湾海域の低層部で観測された。

酸素不足水ができる理由は夏場の高い温度のためだ。高い気温によって表層水温が上がると、表層部の水と低層部の水が混ざりにくくなる。このように海水の循環がなされなければ、表層部から低層部に向かう酸素供給が滞り、低層部に堆積した微生物が有機物を分解する過程で低層部の溶存酸素を消費し、酸素不足の水が作られる。

酸素不足水は南海沿岸の場合、毎年5月末から6月初めにかけて発生が始まり、8月末から10月初めに消滅する。昨年の初発生は5月24日だったが、今年もほぼ同じ時期に発生することになった。海水温が上がるほど酸素不足の水は表層部まで上がり、発生範囲もさらに広範囲になる。

国立水産科学院によると、2017年からの直近5年間は酸素不足水の発生時期が以前より早くなっており、持続期間も平均で10日ほど長くなる傾向を見せている。暑さが早く訪れ、長く続くために酸素不足水の影響が拡大している。実際に、昨年の酸素不足水は前の年に比べ早く発生し、11月に入ってようやく完全消滅したことが確認された。

このような酸素不足水は、養殖生物に直接的な被害を与える原因になる。溶存酸素が少なくなれば魚類はもちろん、ムール貝やカキなどの貝類の養殖場でもへい死が増える可能性がある。特に6月初めからは農業の「種まき」に該当するムール貝と牡蠣の採苗時期と重なり被害が拡大する可能性がある。また、海中にロープを垂らして貝類やホヤなどを育てる手下式養殖場の場合、水深が深くなるほど被害が大きくなる可能性があるため、酸素濃度が比較的高い水面層にロープを設置するなどの予防法が必要だ。

国立水産科学院は水産科学調査船を用いて毎年現場調査を行っている。また、情報通信技術をもとに予測の正確性を引き上げ、漁業従事者があらかじめ被害に備えることができるよう支援する計画だ。また、人工知能を活用して酸素不足水の早期感知なども可能になるとみている。

国立水産科学院のチェ・ヨンソク院長は「今年の夏も昨年と同様に深刻な暑さと多くの降水量が予想されており、南海沿岸の酸素不足水が広範囲に発生する可能性がある」と予想している。さらにチェ院長は「関連情報を迅速に提供し、漁業に携わる人の被害を防ぐために全力を挙げる」と付け加えた。
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