北朝鮮は27日午後10時44分ごろ、北西部・東倉里の西海衛星発射場から軍事偵察衛星の打ち上げを試みたが、衛星を積んだロケットは空中爆発した。ほどなく朝鮮中央通信が打ち上げの失敗を伝えた。
同通信は「新たに開発した『液体酸素+石油発動機(エンジン)』の動作の信頼性に事故の原因があるとの初歩的な結論を下した」と説明し、それ以外の問題点なども調べると伝えた。だが再打ち上げがいつになるかには触れなかった。
これまでとは異なり、慎重な態度といえる。昨年5月31日に初の偵察衛星打ち上げに失敗した時は「部分試験などを経て、可及的速やかに第2次発射を断行する」と表明した。8月24日に2回目の打ち上げに失敗すると「10月に第3次発射を断行する」と、実施時期まで挙げて再打ち上げに意欲を示した。結局、予告した期間からはずれこんだものの、11月21日の3回目の打ち上げで衛星の軌道投入に成功している。
今回、北朝鮮が再打ち上げの言及を控えている理由として、韓国では技術面と政治的な要因を指摘する意見がある。
北朝鮮はロケットに新たなエンジンを用いた。酸化剤に液体酸素、燃料に灯油の一種のケロシンを使用したものだが、このエンジンの信頼性問題が打ち上げ失敗の原因とみられている。
韓国の政府系シンクタンク、統一研究院の洪珉(ホン・ミン)先任研究委員は「安定性を確保し技術を改善するには、相当な時間を要する可能性が高い。北としても(どれほどの時間を要するか)予測がかなり難しい」との認識を示した。
北朝鮮はこのエンジン導入にあたり、ロシアから技術的な支援を受けたとの見方も強い。その場合、問題解決にはロシアとの協議が必要で、北朝鮮だけで再打ち上げの判断を示すのは難しい。また、現在調整中とされるロシアのプーチン大統領の訪朝日程も考慮に入れる必要がある。
北朝鮮は昨年末の朝鮮労働党総会で、2024年に偵察衛星を新たに3基打ち上げると発表していた。だが今回の失敗により、計画に狂いが生じる可能性がある。洪氏は「(ロケット)1段目のエンジンの不安定性解消のための技術補強に少なくとも3~6カ月かかる可能性がある」とし、今年の打ち上げが1~2基程度にとどまることもあり得ると述べた。
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