今年に入って韓国政府が低出生率に対応することを宣言しているが、第1四半期の出産関連の指標はすべて過去最低を示している。出生児数(1万9669人)と合計出生率(0.76人)ともに史上最低値を記録し、全国17市・道の中で合計出生率が上昇jしたところは1か所もなかった。通常は出生数が年初に最も多く、年末に向かって減少する傾向を考慮すれば、今年の出産率の見通しも最低を記録するとみられる。

統計庁が29日に発表した「2024年3月人口動向調査」によると、3月の出生児数は1万9669人で、1年前より1549人(7.3%)減少した。1981年に統計の発表を始めて以来、3月時点で出生児数が2万人を下回ったのは今回が初めてだ。

昨年の月別出生児数は、2023年の3月までは2万人を上回っていたが、4月から12月までは1万人台にとどまっていた。今年は1月(2万1442人)だけが2万人を超え、2月から1万人台に落ち、3月まで2万人を下回った。第1四半期の出生児数は6万474人で、前年の同じ時期より3994人(6.2%)減少した。

第1四半期の合計出生率は0.76人で、1年前より0.06人減少した。これも統計庁が四半期別の合計出生率の統計を提供し始めた2009年以降、第1四半期ベースで最も低い水準だ。合計出生率は妊娠可能な女性1人が一生のうちに産むと予想される子供の数を意味する。

出生児数に「年初効果」があるということを考慮すれば、今年の残りの期間はずっと1万人台にとどまる可能性が高い。昨年の年間合計出生率は0.72人で、四半期別では第1四半期は0.82人、第2四半期は0.71人、第4四半期は0.65人だった。これに先立ち、統計庁は昨年12月に発表した「2022〜2072年人口推計」を通じて、今年の合計出生率が0.68人まで低下すると予想している。

地域別に見ると、第1四半期の合計出生率は17の市・道で減少したことが分かった。このうち、ソウルは昨年の同じ時期よりも0.04人減少した0.59人で、全国最下位を記録した。セジョン(世宗)市は1.10人で全国で最も出生率が高かったが、1年前と比べて減少幅(0.1人)が最も大きかった。

年齢別の出生率は、25歳以上の全ての年代で前年の同じ月に比べ減少した。特に出産が最も活発な年齢層である30代前半が72.3人へと4.4人減り、減少傾向が最も激しかった。第1子だけを産む傾向も続いている。第1子の構成比は61.5%で2.4%ポイント増加し、第2子(31.7%)、第3子以上(6.8%)はそれぞれ1.6%ポイント、0.8%ポイント減少した。第1子出産時の平均結婚生活期間は0.03年増加した2.53年で、結婚しても遅く子供を持つ傾向が深まったものと解釈される。

ただし、統計庁は2022年の8月以降、結婚件数が約1年間増加傾向を示した点を根拠に、今年の下半期の出生児数が増える可能性があると期待している。通常、結婚件数は出生率の先行指標とされる。

統計庁の関係者は「このような傾向が続き、年間合計出生率が第1四半期水準に下落すれば、中位推計より低くなる可能性があるが、下半期の出生児数が中位基準よりさらに増える可能性もある」と述べ、「現在としては予測ができない状況」と説明している。

第1四半期の死亡者数は9万3626人で、前年の同じ時期に比べ4650人(5.2%)増加した。死亡者数が出生児数を上回り、第1四半期の人口は3万3152人自然減少した。自然減少数は1年前(マイナス2万4509人)よりさらに拡大した。3月までの人口自然減少は2019年の11月以降53ヵ月間続いている。

韓国政府はこれまで天文学的な予算を投入しても好転しない低出生率の流れを変えなければならないとし、総力を挙げての対応を打ち出している。ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は9日、「尹錫悦政権2年国民報告」を通じて政府内の少子化対応企画部(仮称)を新設し、長官が副首相を兼ねて人口政策を総括するという青写真を明らかにしている。諮問機関に止まっていた少子高齢社会委員会を省庁に格上げし、少子化対策をさらに進める構想だ。

専門家らは、すでに長期的な傾向に変化した低出生傾向を政策で改善させるためには、若者に対する認識から変えなければならないと口をそろえている。ソウル大経済学科のイ・チョルヒ教授は「現金支給と保育支援施設に対する支援、育児休暇の拡充など、これまで政府が主に行ってきた政策は効果になって現れやすいが、出産に対する全般的な社会の認識の変化を反映するには不十分な側面がある」と述べ、「出産費用を減らすことを越えて激しい社会競争と社会的不平等、不透明な将来などを解決していけるというビジョンを提示しなければならない」と提言している。
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