世界の主要国は半導体の覇権を握るために血眼になっている。米国は今後5年間で72兆ウォン(約8兆2000億円)を投入して中国の半導体分野の成長を阻止し、自国内の供給網を構築する計画だ。このため「チップス法」を制定し、莫大な補助金をかけ、サムスン電子や台湾のTSMCなど世界有数の企業を呼び集めている。EUも「欧州版チップス法」によって63兆ウォン(約7兆2000億円)を投入する計画だ。一昨日には中国政府もこれに対抗して半導体産業育成のために64兆ウォン(約7兆3000億円)規模の半導体投資基金を作ったとの報道があった。
このような状況で、メモリーの世界的強者であるサムスン電子の地位が揺らいでいる。新型コロナウイルスのパンデミック以降、急成長したファウンドリー(委託生産)分野で先頭に立った台湾のTSMCに追いつくためにあらゆる手を尽くしているが、成果を出せずにいる。TSMCの市場シェアは昨年の第2四半期の46%ポイントから今年第1四半期には49%ポイントへとさらに広がっている。AI時代の寵児として浮上したHBM(高帯域幅メモリー)の開発競争でも遅れを取っている。ライバル会社のSKハイニックスが新製品を相次いで発売し、AIメモリー市場で独走しているのとは対照的に、サムスン電子は成果を出せずにいる。このところサムスン電子では半導体部門のトップを入れ替える強気の動きを見せているが、株価は低迷し続けている。もはや危機的状況との表現も過言ではない。
ストライキ権は労働者の固有の権利だが、その行使は周りの環境を見ながらなされるべきだ。サムスン電子は激しい半導体の世界大戦での中で、韓国の未来を背負って走る国家代表選手と同じだ。もしも敗北すれば、企業はもとより韓国経済も居場所を失うことになる。韓国の代表的企業のストライキを眺める国民の視線も冷たい。平均年俸1億2000万ウォン(約1370万円)に達する企業の労組が繰り広げる贅沢なストライキとの話も聞こえてくる。サムスン電子労組はストライキを全面撤回すべきだ。
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