尹氏は北朝鮮へのビラ散布を制止するためには、関連法が定める「国民の生命・身体に対する深刻な脅威」であると認められる必要があるが、明確に該当するとは思えないと説明した。
また2014年10月、ビラ散布に反発して北朝鮮が高射砲を発射したことで韓国国民に深刻な脅威をもたらした際には、警察が北朝鮮へのビラ散布を制止できるとする判例が示されたことがあるとした上で、「今のようにごみ風船を単純に飛ばす程度であれば、国民の生命と身体に対する深刻な脅威とみなすのは無理だと思う」と話した。
警察官職務執行法によると警察官は、人の生命や身体に危害を及ぼしたり、財産に重大な損害を及ぼすおそれのある天災、事変、人工構造物の破損または崩壊、交通事故、危険物の爆発、危険な動物などの出現、極度の混雑、その他の危険な事態があるときは警告、抑留、制止などの措置を取ることができる。
ただ、政府がごみ風船に関連して注意喚起のメッセージを出し、実際に車両の破損などの被害が出ていることや、境界地域だけでなくソウル市内にも風船が飛来したことなどから、北朝鮮のごみ風船を「深刻な脅威」とみなせるとの意見も一部で出ている。
これについて警察庁の関係者は、文在寅(ムン・ジェイン)前政権時に成立した北朝鮮への体制批判のビラ散布を禁じる法律(改正南北関係発展に関する法律)は表現の自由の観点などから憲法裁判所が違憲との判断を示しているとし、現行法によって北朝鮮へのビラ飛ばしを制止するには、北朝鮮が散布地域に対して射撃をするなど具体的な脅威が認められる必要があり、禁止するには立法的な解決が必要と説明した。
尹氏は、北朝鮮のごみ風船が今後も続いた場合について、「一連の進行経過を見極めながら判断しなければならないと考える」とし「今は生命・身体に対する脅威ではないと考えられるが、一段階さらに進み、十分に脅威とみなされるようになればその時に判断する」と述べた。
一方、警察庁は先月末、北朝鮮のごみ風船への対応を巡り、市民の接近を防ぐための統制や現場保存、軍など関連機関との合同調査の指示などを盛り込んだ指針を作成し、全国の警察署に通達した。
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