軍消息筋は、宣伝放送を行わない理由について「戦略的柔軟性を発揮して状況を管理する必要性がある」と述べた。
韓国は9日、北朝鮮がごみなどをぶら下げた「汚物風船」を飛ばしたことへの対抗措置として、対北朝鮮宣伝放送を6年ぶりに再開。北朝鮮はこれに対抗し、同日夜から10日朝にかけて韓国に向けて約310個の風船を飛ばした。
一方、軍当局は北朝鮮が最前線に拡声器を設置する動きを捉え、北朝鮮軍の動向を注視している。
北朝鮮は韓国と同様、2018年4月の南北首脳による「板門店宣言」を受けて少なくとも30カ所に設置していた拡声器を撤去した。
北朝鮮も対韓国宣伝放送を再開すれば、南北が同時に拡声器を用いた心理戦を行う可能性もある。
韓国軍と政府が宣伝放送を行わないと決定したのは、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)の妹、金与正(キム・ヨジョン)党副部長が前日に出した談話が影響したとみられる。
与正氏は談話で、韓国が北朝鮮非難ビラの散布と南北軍事境界線付近で拡声器を使った宣伝放送を並行して行う場合、「新たな対応」を取ると威嚇した。
政府筋は「談話のトーンはそれほど強くない。照準打撃など強い発言が出ると予想したが、水準を調節して発表したようだ」と分析した。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領がこの日、トルクメニスタン、カザフスタン、ウズベキスタンの中央アジア3カ国を国賓訪問するため出国したことも対北朝鮮宣伝放送の保留に影響を及ぼしたとの見方もある。
大統領の歴訪中に朝鮮半島で軍事的緊張が高まることを避ける必要があるとの判断だ。
政府当局者は、「大統領の歴訪期間に緊張が高まるのは負担になるが、北が強く挑発するなら、それがより大きな考慮要素(になる)」とし、「(宣伝放送の再開は)北の行動にかかっている」と述べた。
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