国会の議席数(定数300)は最大野党「共に民主党」が171で過半数を占め、与党「国民の力」は108にとどまる。
国会議長らと主要常任委員長の選出が共に民主党の主導で強行処理されたことを受け、国民の力は国会の議事日程を全面的に拒否する構えだ。
野党が国会議長と主要常任委の委員長を独占する憲政史上初の事態に、議会制民主主義の危機を懸念する声も上がっている。
共に民主党は第22代国会の開会前から今月10日まで続いた与野党の交渉に進展が見込めないとして、同日夜に野党単独で開いた本会議で11の常任委について委員長を選出した。
この中には大統領室を担当する運営委員会、法案処理の関門であり特別検察官による捜査を担う法制司法委員会、放送政策を担当する科学技術情報放送通信委員会などの主要常任委員会が含まれた。
5日には、与野党の合意なしに本会議が開かれたことに抗議して与党が出席せず、史上初の野党単独開会となったのに続き、野党が初めて単独で常任委員長を選出した。
野党側は、共に民主党が議席数で圧倒的優位に立ったことを民意の表れとし、「働く国会」をつくるというスローガンを掲げた。これに対し、国民の力は共に民主党が本会議の開会と常任委員長の選出を強行したことを批判。本会議を主宰した共に民主党出身の禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長に対しても「民主党議員総会の報道官」と非難した。
国民の力は常任委員長を選出するために禹氏が任意に割り当てた同党所属の常任委員の辞任届を出す一方、今後国会の全ての議事日程を拒否することも検討している。さらに、党の政策分野別に15の特別委員会を立ち上げ、与党の地位を活用して政府と協議を行うことで常任委の活動に代えるとの構想を練っている。
このような与野党の対立構図は、残る7常任委の委員長選出をはじめ、今後行われる主要法案の処理や通常国会、予算国会でも激しい衝突をもたらす見通しだ。
共に民主党は、国民の力に配分された7常任委について今週中に委員長の選出を終え、直ちに18の常任委を正常に稼働させなければならないとの立場だ。
国民1人当たり25万ウォン(約2万8500円)の「民生回復支援金」を支給するための法案やコメの超過生産分の政府買い上げを義務付ける糧穀管理法改正案、不動産詐欺被害者支援に関する法案など、第21代国会で尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が拒否権を行使し、破棄された法案の再推進に加え、尹大統領夫人の金建希(キム・ゴンヒ)氏が高級ブランドバッグを受け取ったとされる疑惑や昨年発生した水害の行方不明者を捜索中だった海兵隊兵士の殉職事件に絡む職権乱用疑惑、韓国下着メーカー大手・サンバンウルグループが北朝鮮側に巨額資金を不正に送金した疑惑などについて、特別検察官が捜査を行うための法案の処理を進めたいとの思惑が透けて見える。
与党側は、対北朝鮮送金疑惑に絡み共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表の側近、李華泳(イ・ファヨン)元京畿道平和副知事に一審で実刑判決が言い渡されたことにより再浮上した李在明氏の「司法リスク」が、今回の常任委員長の配分過程において少なからず影響を与えたと主張している。共に民主党が一方的に常任委員長の人選を強行した目的は、複数の疑惑に絡み検察に起訴された李在明氏を守るためだとの認識だ。
このことから、極端な「ねじれ」の構図から生まれた今回の衝突は「終わり」ではなく「始まり」に過ぎないとの分析が出ている。与野党は今後、数々の疑惑に対する検察の捜査や裁判所の判決を巡って生死をかけた対決を繰り広げると予想される。
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