このように韓国産いちごが世界に名前を広めることができたのは、「Kベリー(K-Verry)」が果たした役割が大きい。Kベリーはいちご生産農家と輸出業者が共同で2019年に設立した輸出統合組織で、韓国最大のいちごの産地であるキョンサンナムド(慶尚南道)チンジュ(晋州)にある。晋州市農産物卸売市場の2階の片隅にある小さなオフィスでは、いちごの生産から流通、海外マーケティングまでの全ての過程を管理している。事実上、いちご輸出作戦基地の役割を果たしているわけだ。
Kベリーのウ・ヘユンチーム長は「いちごの生産者および輸出業者との協力を通じて、輸出量と価格競争力を確保できるという長所がある」と話した。
いちごの他にもパプリカ、ぶどう、梨、トマトなどの品目にも輸出統合組織があるが、Kベリーは組織力や交渉力などすべての面で最も優秀な組織として挙げられる。現在、全国に43ある生産者団体と64の輸出業者が加入している。韓国全体のいちご輸出量の実に96%をKベリーの会員が占めている。梨の輸出連合(98%)の次に高い加入率だ。
特にKベリーは農産物の輸出において最も重要な品質管理を厳しく行っている。主に小規模農地が多い韓国の特性上、均一な品質で大量の農産物を栽培することが難しい。複数の農家の製品を集めて輸出する場合、品質がまちまちになる可能性がある。Kベリーでは農産物の生産、収穫、包装、販売の全ての過程で品質基準を設けて管理している。また全国にある農産物産地流通センター(APC)には品質管理担当者を置き、世界中どこでも均一な製品を味わえるよう管理を行っている。
このように厳格に管理された韓国産いちごは「Kベリー」という単一ブランドで世界市場に輸出される。各生産組織ごとに異なるブランドで輸出をした場合、相対的に認知度が低い海外ではどれが韓国のいちごなのか混同する場合がある。また、最近中国産の農産物が韓国産を偽装している問題も、単一ブランド化を通じて防止している。
2022年から施行している共同物流も大きな成果として挙げられる。今年から韓国政府の物流コストの助成金が廃止され、価格競争力確保のための物流コストが大きな問題として浮上した。Kベリーは本来なら各輸出業者が個別に航空会社に輸送費の見積もりを取って価格交渉するところを、輸出量全体を対象に航空会社と直接交渉を行う。ウチーム長は「主要な航空会社ごとに価格交渉を通じて決められている輸送費単価がある。この単価は業者が個別に交渉するよりはるかに安い」と語った。韓国政府は今年、これをいちご以外の全ての品目に拡大する計画だ。
Kベリーでは、いちごの輸出額1億ドル達成を目標に、新市場の開拓に向け動き出している。今年はドイツ、ドバイ、サウジアラビア、シンガポール、米国などで開かれるaT食品博覧会を通じて広報を行う予定だ。ウチーム長は「昨年もドバイで広報を行ったが、現地では果汁が豊富でおいしいいちごを初めて食べるという反応だった」と語り、「品質面では十分に競争力がある。まずは試食イベントを通じて広く知らせることが重要だ」と語った。
韓国政府も今年から「新鮮農産物輸出統合組織育成事業」を通じて農産物の輸出競争力を強化する。基盤育成、マーケティング、研究開発、品質改善・管理、物流改善など5分野の支援を行う。林畜産食品部の関係者は「過去には政府が輸出物流費を支援したとすれば、今後は輸出統合組織が各自の専門性を通じて競争力を高められるようにする」と述べた。
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