ロシアと北朝鮮は関係を深めており、昨年9月には金総書記がロシアを訪問し、プーチン大統領と会談した。両首脳が会談するのは2019年4月以来、約4年半ぶりのことだった。当時の会談で、金総書記はロシアによるウクライナ侵攻について「ロシアは自らの権利と安全などを守るために正義の偉業を進めている」とし、支持する考えを示した。この会談の際、プーチン氏は北朝鮮への招待を受けており、今回の訪朝はこれに応じたものだ。
ロシアはウクライナ侵攻の長期化で兵器不足に陥っており、北朝鮮から砲弾などの提供を受けているとされる。一方、北朝鮮は武器提供の見返りに衛星に関する技術支援を受けているとみられ、今回のロ朝首脳会談を機に、こうした相互依存関係が一層深まることが予想される。
また、韓国の聯合ニュースは「今回の会談では、両国が『有事の際の自動軍事介入』に近い水準の軍事協力を締結する可能性が取り沙汰されている」と伝えた。「有事の際の自動軍事介入」は1961年に北朝鮮と当時のソ連が友好協力相互援助条約を締結した際、条項に盛り込まれており、今回の会談を機に、これが復活するのではないかとの見方だ。
プーチン氏は訪朝に先立ち、18日の北朝鮮の朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」に寄稿した。この中でプーチン氏は北朝鮮について、「揺るぎない同志であり支持者だ」とし、「我々は共同の努力で協力をより高い水準に引き上げる」と強調。互恵的で対等な協力の発展、自主権強化、経済・貿易関係の深化、人道主義分野での協力の発展につなげるとした。一方、ロシアによるウクライナ侵攻に関しては、米国など西側諸国が「(ゼレンスキー政権に)資金、武器、情報を提供し続け、ロシア本土を攻撃する兵器の使用を許可・奨励している」と主張した。労働新聞も社説でプーチン氏の訪朝を「熱烈に歓迎する」とした上で、「両国は米国と追従勢力の無分別な策動に対処し、自衛力の強化に力を入れながら、戦闘的な連帯性を強化している」とロシアとの連携を一層強める考えを示した。
一方、韓国や米国などは、プーチン氏の訪朝が、ロシアと北朝鮮のさらなる関係強化につながることを懸念。会談の内容を注視している。韓国外交部のチョ・テヨル長官(外相)はロシアに対し、朝鮮半島の平和と安定を阻害する方向でロ朝の議論が行われてはならないとの立場を伝えたことを16日、明らかにした。その上でチョ外相は「ロ朝協力が長期的・戦略的な協力関係につながるか、必要による一時的・戦術的な協力にとどまるかは見守るべきだ」と述べた。
米国務省のミラー報道官は17日の記者会見で、「ロシアと北朝鮮の協力深化は、朝鮮半島の平和と安定を維持し、世界的な不拡散体制を支持し、ロシアの侵略に対抗して自由を守るウクライナ国民を支援することに関心がある人なら誰でも懸念するはず。これは米国だけの懸念ではない。朝ロ間の安保協力の深化に対して他の国々も懸念を表明していることを知っている」と述べた。
林芳正官房長官は18日、「ロ朝間の軍事的な連携協力の強化等を含め、我が国を取り巻く地域の安全保障環境は一層厳しさを増していると考えている。ロ朝間の武器及び関連物資の移転等を含め懸念を持って注視している」と述べた。
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