教育部は来年の新学期からデジタル教科書の導入を順次開始する。2025年は小学3年生と4年生、中学1年生、高校生に、2026年は小学5年生と6年生、中学2年生に、2027年は中学3年生へと使用を拡大させる予定だ。教育部はデジタル教科書を通じて、各生徒の能力に合わせた教育を提供すると明らかにした。
しかし、デジタル教科書を使用するためには紙の本ではなくタブレットPCやノートパソコンなどのデジタル機器を利用しなければならないため、学生たちのデジタル機器の使用時間は増えていくばかりだ。5月27日にはこれを懸念してデジタル教科書の導入の留保を求める国会国民同意請願も提出された。請願に署名したAさんは「保護者たちは子供の過度なデジタル機器の使用により、ほとんど毎日家庭不和に陥っている」と語り、「一日の半分以上の時間を過ごす学校でもデジタル機器を使用しなければならないのか」と話した。この請願は1ヵ月間で5万6505人の署名が集まり、先月27日に国会の所管委員会である教育委員会に届けられた。
キョンギド(京畿道)で小学生の子を持つチェさん(41)は「今でさえ子供がタブレットPCでSNSやゲームをするのに夢中になり、使用時間を制限させるのに苦労している」と語り、「デジタル教科書の導入が本格化し、デジタル機器の使用時間が増えればこれをコントロールできるかどうか心配だ」と話した。
識字力や集中力が低下し、学習能力を害する懸念も出ている。ソウル市マポ(麻浦)区で小学生の子を持つキム・シネさんは「子供が難読症の症状があり、ただでさえ文章を読もうとしない」と語り、「難読症の症状がある子供たちにとってはデジタル教科書の導入は不利になる」と心配している。
学生たちのデジタル機器の使用を減らそうとする国際的な流れに逆行しているのではないかとの指摘も出ている。デジタル教育をいち早く導入していたスウェーデンでは、学生たちの識字力の低下を懸念し、紙の教科書の使用を拡大することを決めた。カナダのオンタリオ州では文字を書く授業を増やし、フランスやオランダは教室での携帯電話の使用を禁止した。テグ(大邱)に在住する保護者のAさんは「海外では教室の中でのデジタル機器の使用を減らそうとしているのに、なぜ韓国ではこれに逆らおうとしているのか理解できない」と話した。
教育部の関係者は「基本概念を学習するための補助的な用途でデジタル教科書を使用する予定」と述べ、「下半期の説明会や実際の授業でのテストなどを通じて保護者の懸念を解消していく」と明らかにした。
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