テリー氏は米シンクタンクの外交問題評議会などに所属し、朝鮮半島問題に関するセミナーにパネリストとして出席するほか、テレビのコメンテーターとしても活動していた。
また、脱北の過酷な実態を捉えて世界的に高い評価を受けたドキュメンタリー映画「ビヨンド・ユートピア 脱北」の共同プロデューサーも務めた。
裁判書類によると、テリー氏は米政府当局者から非公開を前提に入手した情報を韓国情報当局と共有したり、韓米政府関係者の会合を取り持ったりした見返りに韓国政府側から食事の接待を受けたり、高級バッグなどを受け取ったりしたとされる。
しかし、テリー氏の弁護側はこれらの容疑を強く否定しているという。
韓米同盟や韓米日安全保障協力の強化、経済安保協力が進み、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権とバイデン政権の関係が良好な中で起こった今回の問題は、米ワシントンの朝鮮半島専門家の間で驚きをもって受け止められた。
米捜査当局は韓国情報機関が関与しているとみており、韓米間の円滑な情報交流に影響を及ぼしかねないとの懸念が出ることも予想される。
一方では、今回の事件を韓米関係とは切り離し、単純な法執行とみなければならないとの指摘もある。
移民大国である米国は、自国の国籍を持つ公職者が母国の利益になる行為を行うことに対し厳しい基準を適用することで知られている。
このような背景において、米国国籍のテリー氏に対しても韓米関係への政治的配慮を排除して捜査や起訴が行われた可能性があるとの分析も出ている。
また、テリー氏は現職公務員ではないため、米海軍情報局で働いていた韓国系米国人が米政府の機密情報を韓国政府に渡したとしてスパイ罪で起訴され、懲役9年を言い渡された1996年の「ロバート・キム事件」とは異なるとの見方もある。
テリー氏は2001年から11年までCIAを含む米政府機関で勤務したが、職を離れて10年以上が過ぎており、政府の機密情報に常時接することができる立場にはない。
韓米消息筋は16日、「ロビイストとして登録せずに外国政府を助ける行為をしたことに対する取り締まりと見なすべきだ」として、公判で被告の弁論を見守る必要があると述べた。
ただ、これまで朝鮮半島で重大な問題が発生した場合には米国と韓国がそれぞれ、または共同で政策立案を行い、これを実行する過程で米国内の朝鮮半島専門家が両国間の情報交流や懸案分析における橋渡し役を担ってきたことから、今回の事件により他の専門家の活動も萎縮することを懸念する声も上がっている。
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