ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は23日、ソン・テユン大統領室政策室長とアン・ドックン産業通商資源部長官などで構成された特使団をチェコに派遣した。チェコ政府が17日(現地時間)、24兆ウォン(約2兆6900億円)規模の原子力発電所2基を建設するプロジェクトの優先交渉権者として韓国水力原子力を選定した中で、特使団はこれに対する感謝を伝えると同時に、来年3月に予定されている本契約締結のための政府間のホットラインの構築について話し合う予定だ。

大統領室によると、ソン室長を団長とする特使団は23日に韓国を出国し、1泊3日の日程でチェコのペトロ・ピアラ首相とヨーゼフ・シケラ産業通商部長官と面談を行う。この席で優先交渉権の対象者選定に感謝する尹大統領の親書を伝え、政府間のホットラインの構築など、今後の措置について論議を行う。

尹大統領は前日、首席秘書官会議でチェコ原発事業について、関係省庁に原発業界との連携強化とチェコ特使派遣の検討を指示した。大統領室政策室長が団長を務めることで、チェコ原発関連の懸念を大統領が直接取りまとめるとの意志も反映している。本契約交渉の主体である韓国水力原子力でも、ファン・ジュホ社長をはじめとする実務陣約5人が特使団に合流し、チェコ首相との面談などに参加する。

今回の面談は、来年3月に予定されている韓国水力原子力とドコバニ原子力発電会社間での原発2基を建設する本契約に向けた交渉の出発点になる見通しだ。15年ぶりの韓国製原発の輸出はチェコ政府が韓国水力原子力を自国事業の優先交渉権者に選定し、大筋で合意まで達している段階だが、まだ本契約のための細部条件の調整過程が残っている。今後約半年間で、実際の契約金算定から事業推進のための資金調達方式などを決める必要がある。

韓国水力原子力は近く発注会社のドコバニ原子力発電会社と事業着手会議を開き、契約交渉の日程および方案についての議論を始める予定だ。韓国水力原子力はチェコ政府の発表直後の18日、14人で構成されるチェコ原発建設準備センターを新設したのに続き、22日には専門家約60人で構成される交渉対応対策班を発足させるなど、最終交渉の準備に着手した。

特使団の派遣を機に、原発以外の分野でも韓国とチェコの経済協力が拡大することが期待されている。韓国とチェコは2015年に両国の関係を「戦略的パートナー」に格上げし、以来交易額が着実に増えて2023年は過去最高の44億ドル(約6840億円)を記録した。自動車をはじめとする韓国の主要産業は、チェコを欧州市場進出のための生産拠点として進出を拡大させている。

特にチェコが自国史上最大規模の投資プロジェクトをヨーロッパ内の原発盟主であるフランスではなく韓国に任せることを決めたことで、両国の経済協力関係が一層深まることになった。チェコは5年以内に原発2基を追加で建設するかどうかも決めることになっているが、建設計画が確定すれば、やはり韓国水力原子力が優先交渉権者になる。

この日、特使団として参加したアン産業部長官は前日、経済界6団体の役員とともに、イワン・ヤンチャレック駐韓チェコ大使と会談し、チェコ政府の決定に感謝の意を表し、原発の建設だけでなく、人材育成と技術開発、第三国への共同進出、小型モジュール原発(SMR)の開発協力など、原発に関する全ての分野での協力体系の構築を提案した。また、来年の韓国とチェコ間の国交正常化35周年を控え、原発を含む先端産業と交通インフラなどのさまざまな分野で経済協力を拡大・深化していくことを伝えた。
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