ソウル市テチドン(大峙洞)の学習塾が多く立ち並ぶ街で起きた「薬物飲料事件」に加え、「大麻ゼリー」を勧める学生まで。薬物に対する不安が韓国社会に蔓延している。このため、数百人の市民が匿名で行われる薬物検査を希望していることも分かった。

ソウル市によると、ソウル市内の保健所で行われる匿名の薬物検査は、今年上半期に計379件実施された。昨年度は検査件数が134件だったことを考慮すると、今年に入り急増している。結果はほとんど陰性だったが、この1年間で陽性反応が9件確認された。

この検査は、自身も知らないうちに薬物にさらされた可能性があると心配している人々が、適切に検査や治療を受けられるように推進している事業だ。匿名で行われるため、個人情報の提供は必要なく簡単なアンケート調査に答えるだけで検査を受けることができる。もしも精密検査を希望したり、陽性反応が出た場合には、医療機関に案内したり相談を行っている。

このような事業に多くの人が関心を持つ理由は、近年薬物に対する敷居が低くなり、犯罪に利用される事例も連日伝えられているためだ。実際に、4月にはソウル市クァンジン(広津)区のあるレストランで、大学の同級生3人に「気分が良くなる」と大麻成分が含まれたゼリーを食べさせる事件があり、5月には一緒に酒を飲んだ女性に液状の合成大麻が含まれた電子タバコを吸入させ、被害者を集団暴行したグループが実刑判決を受けた。

さらに、海外旅行先で意図せず薬物に接し、薬物事犯に問われる事例もある。このため、国家情報院は4日、海外旅行客に薬物成分が含まれた飲食物の摂取に注意するよう呼びかけている。国家情報院によると、タイでは大麻入りのノンアルコール焼酎が販売されているが、「大麻成分を含む」との文言がタイ語のみで表記され、子供たちが買い求める清涼飲料水と同じ場所に陳列されており、無意識に薬物を服用する危険がある。カナダでは韓国国内で薬物に分類されるマジックマッシュルームが販売されており、一部の東南アジア国家では風俗店を中心に薬物入りの飴など違法幻覚物質が売買されている。

このため、市民たちは匿名の薬物検査を好意的に受け入れている。ソウル市マポ(麻浦)区に住むキムさん(25)は「韓国でも薬物が広がっているが、私が食べるものが安全だと見極めるのは難しそうだ」と話し、「薬物にさらされた不安がある時は無条件に匿名検査を受けると思う」と話した。今年1月にニュージーランドを旅行したユンさん(26)は「フェスティバルで知らない人が飲み物を無料で配っているが、何が入っているのか分からなかった」と語り、「パーティー用の薬物もあると聞いて心配だった」と当時を回想した。ユンさんは「夕方には宿で旅行者の間でビールが配られたが、そこでもらった飲み物を絶対に飲まなかった」と話し「帰国してからも薬物を摂取したのでははないかと思って不安だった」と話した。

専門家らも、一般市民が非自発的に薬物にさらされる危険性が高くなっていると述べ、匿名検査の必要性に共感した。ウルチ(乙支)大学中毒リハビリ福祉学科のキム・ヨンホ教授は「非自発的に薬物を摂取したり、好奇心で衝動的に薬物に接した人の健康を国家が管理するという点で、匿名での薬物検査は有意義だ」と評価している。ただし「韓国では単純な薬物使用でも処罰されるため非自発性を立証することが難しく、検査を受けることを敬遠する傾向がある」と述べ「匿名検査を受けても処罰につながらないことを十分に広報し、慢性疾患と同じように薬物依存症を治療することに関心を持つべきだ」と付け加えた。
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