<W解説>パリ五輪の開会式で、韓国を激怒させた現地のアナウンスミス
<W解説>パリ五輪の開会式で、韓国を激怒させた現地のアナウンスミス
パリ五輪の開会式が26日(日本時間27日)、パリ中心部を流れるセーヌ川で行われた。8月11日までの17日間にわたる熱戦がスタートした。夏季五輪で初めて競技場外での実施となった開会式では、各国の代表選手団がオステルリッツ橋から船に乗り込み、水上で「入場行進」した。セーヌ川を舞台にさまざまな演出も繰り広げられ、32万人余りの観客を魅了した。そんな中、各国の紹介時、現地のアナウンスで韓国が北朝鮮と間違えられるハプニングがあり、波紋を広げている。韓国紙の朝鮮日報は「とんでもないミスが発生した」などと伝えている。

韓国は今大会に選手143人、競技役員90人、本部役員27人の260人の選手団を派遣。規模は前回大会よりも大幅に縮小し、1976年のモントリオール大会以降、夏季では最少だ。「金メダル5個以上、15位以内」を目標に掲げている。韓国は今大会の出場を目指すにあたり、団体球技の出場権争いで苦戦。出場する韓国の団体球技種目は女子ハンドボールのみだ。団体球技種目の不振が派遣規模の縮小を招いた。

韓国紙の中央日報によると、大韓体育会(韓国オリンピック委員会)のイ・ギフン会長は「パリに到着し、緊張が感じられる。選手や指導者、スタッフはこれまで徹底的に準備してきたが、良い成果を出し、国民に喜びを与えなければならないため、責任も大きい」と話した。前述のように、韓国の今大会での目標は「金メダル5個以上、15位以内」で、前回の東京大会で掲げた目標(金メダル10個、総合10位以内)よりも低めに設定している。イ会長はこれに関連して「当初の目標よりもより成果が出せるよう最善を尽くしたい」と意気込みを語った。

一方、北朝鮮は8年ぶりに夏季五輪に出場する。2021年の東京五輪は新型コロナウイルスの流行などを理由に参加せず、国際オリンピック委員会(IOC)から2022年末までの資格停止処分を受けた。処分が解除され、今大会には体操やボクシングなどに16人が出場を予定する。昨秋行われた杭州アジア大会で2冠の成績を残した体操女子のアン・チャンオク選手は、今季のW杯シリーズ全体1位となり、メダル獲得が期待される。ただ、北朝鮮選手団はベールに包まれている面もあり、韓国の聯合ニュースは24日、選手たちの現地での様子について「練習以外で北朝鮮選手の姿を見ることは難しく、カートに乗って移動する様子のみ捉えられた」と伝えた。

開会式で、各国の選手団は船に乗ってパリ植物園近くのオステルリッツ橋を出発。パリの名所を通ってエッフェル塔近くのトロカデロ広場まで6キロメートルのコースをパレードした。韓国選手団は48番目、北朝鮮選手団は153番目に登場した。過去の五輪では、2018年の韓国・ピョンチャン(平昌)冬季五輪で南北の合同入場行進が実現したこともあったが、現在、韓国と北朝鮮の関係は著しく緊張しており、今大会の開会式で南北の接点はなかった。

そんな中、開会式では、韓国選手団が登場した際、現地のアナウンスが英語とフランス語で北朝鮮の正式名称である「朝鮮民主主義人民共和国」と誤って紹介するミスがあった。これに、韓国メディアは「お話にならない間違いが開会式を台無しにした」(OSEN)などと怒りを込めて伝えた。北朝鮮が登場した際には間違いなく紹介され、朝鮮日報は「紹介時の呼称通りなら、この日の開会式には北朝鮮が2度入場したことになる」と皮肉を交えて報じた。

問題を受けて、国際オリンピック委員会(IOC)はバッハ会長が27日、ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領に電話して謝罪した。これに対し、尹大統領は「夏季、冬季五輪を開催した国として、韓国の国民は非常に驚き、当惑した」と述べ、再発防止を求めたという。

南北の政権が互いに敵対的な状況にある中でのミスなだけに、今回の問題は一層、波紋を広げている。

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