朝鮮半島の気候が数日の間に手のひらを返したように変わる現象が繰り返されている。午前中には大雨警報が発令され、午後には猛暑注意報が発令される極端な状況も起こっている。専門家らは、このような極端な気候と複合災害が「ニューノーマル」になってきていると分析している。

気象庁長官出身のソウル大学農業生命科学科のナム・ジェチョル特任教授は先月24日、インタビューに応じ「近年『100年ぶりの猛暑』や『100年ぶりの豪雨』のような表現がよく使われるが、 このような警報が毎年出るということは、記録が更新されて気候が変わっていることを意味している」と述べ、「ほとんどすべての人が気候の変化を肌で感じているため、現在の気候状況は『ニューノーマル』と命名しても言い過ぎではない」と語った。ウルサン(蔚山)科学技術院(UNIST)の地球環境都市建設工学科のイ・ミョンイン教授は「地球温暖化のせいで猛暑や豪雨の頻度とその程度が上がっていくことはもはや避けられなくなっている」と語り、「今年は韓国の猛暑・豪雨の歴史を更新する可能性もある」と述べた。

韓国の気候変動は世界の平均よりも早くて激しいとする分析も出ている。韓国環境省が昨年発刊した「大韓民国気候変化適応報告書」によると、過去109年間(1912年から2020年)の韓国の年平均気温は約1.6度上昇し、世界の上昇気温の平均である1.09度を上回った。海水温も過去50年間で1.23度上昇し、世界平均の0.48度を約2.6倍上回った。過去30年間の海面上昇も、世界の年間平均海面上昇幅の1.7ミリメートルより大きい2.97ミリメートルに達している。これらとともに豪雨や猛暑・冬季の異常高温および寒波の頻度のその程度が高まっており、人命被害と財産被害が増加している。過去10年間の気候変化に起因する自然災害による経済的損失は3兆7000億ウォン(約4050億円)に達し、復旧費用は損失費用の2倍から3倍に達する。

梅雨の集中豪雨が3週間にもわたり朝鮮半島を襲ったことも、気候変動と無関係ではない。Kウェザー予報センターのパン・ギソン所長は「地球温暖化により気温が1度上昇するごとに水蒸気が7%(重さ換算時8900億トン)増加する」と述べ、「2000年以降に夜行性の豪雨が増えたが、気候変化により南側と北側の気温差がさらに大きくなっていることを意味している」と述べた。

他の気象災害が同時に、または連鎖的に発生する「複合災害」も頻繁に発生している。一例として、ひとつの地域で猛暑と日照りが同時に発生した場合、農作物の生産に大きな悪影響を及ぼし、水不足問題を深刻化させる恐れがある。また、長期間の日照りの後に集中豪雨が降った場合、乾燥した土壌が水を吸収できず、洪水と山崩れを発生させる可能性がある。複合災害は政府および地方自治体の対応能力を超える場合もあり、さまざまな問題を同時に処理しなければならず、設備と人員の配置に困難が生じやすい。ソウル大学地球環境科学部のソン・ソクウ教授は「これまでは洪水に備えるだけでよかったが、これからは山火事などの(他の気象災害に対する)備えを並行して行わなければならない」と述べ、「全ての可能性に備えて準備しなければならないため、迅速かつ効率的な備えをすることが難しくなる」と述べた。

気候危機のニューノーマル時代では、気候予測の難易度がますます高くなる。イ・ミョンイン教授は「現在の予報モデルは極端な豪雨や猛暑など、大きな自然災害に対する予測性能が十分ではない」と述べ、「テレビの解像度が低いと人の姿がはっきりと映らないように、現時点では大きな災害に見合った高解像度の予測システムを開発できていない」と付け加えた。
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