大韓赤十字社は豪雨によって大きな被害を受けた北朝鮮住民に対してお見舞いのメッセージを発表。支援品目、規模、支援方式などについて協議する準備ができているとし北朝鮮の朝鮮赤十字会に早急な呼応を呼び掛けた。
大韓赤十字社と朝鮮赤十字会は災害時の緊急支援のほか、南北離散家族の再会行事などでも交渉役を担っている。
北朝鮮が昨年4月7日から南北の連絡チャンネルを一方的に遮断したため、韓国政府は大韓赤十字社からの発表という形式で支援を提案した。
2022年5月に尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が発足してから、韓国が北朝鮮に人道支援を提案したのは、22年5月に新型コロナウイルス関連の支援を提案したのに続き2回目。
韓国政府は豪雨被害を受けた北朝鮮への支援計画について、「被害状況を注視しており、現時点では発表することはない」としていたが、被害が深刻であるとの判断から支援の提案を急きょ決めたとみられる。
統一部当局者は大韓赤十字社の発表に関連し、記者団に対し「政府は人道的危機状況に対してはいつでも支援(の扉)は開かれているという意思を表明してきた」とし「北の水害の状況を認識し、大韓赤十字社との緊密な意思疎通を経て水害の救援物資支援を提案することに決めた」と説明した。
これまで韓国が水害に関連して北朝鮮に支援を行ったのは計5回(1995、2005、06、07、10年)で、1984年には北朝鮮が韓国に救護物資を支援した。
北朝鮮が提案を受け入れれば、政府は北朝鮮側との協議を経て、南北協力基金を活用して食糧や医薬品などを支援するとみられる。
ただ北朝鮮は先ごろ、朝鮮半島の平和統一の方針を放棄し、北朝鮮と韓国の「2国家」論を主張するなど敵対政策を掲げており、韓国側の提案に応じる可能性は低いとみられる。
国連児童基金(ユニセフ)は北朝鮮と豪雨被害に関連した支援について協議しているという。
統一部当局者は北朝鮮との協議方式について、対面、書面、第三国を通じての協議などすべての方式について、受け入れる準備があると説明した。
北朝鮮では先月末、北西部の平安北道などで豪雨による洪水が発生。北朝鮮メディアは新義州市などで約4100世帯が浸水し、農耕地3000町歩(1町は3000坪)、建物、道路、鉄道に被害が出たと報じた。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)は7月29〜30日に行われた党中央委員会政治局の非常拡大会議で、豪雨被害を巡り「容認できない人的被害が発生」したと発言したものの、具体的な被害規模は公開されなかった。
韓国の情報当局は、多ければ1000人程度の死者が出た可能性があるとみている。
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