半導体企業が事業活動をする前に、未来に受け取る税額控除分を先に受け取れるようにする「税額控除権の先取り」制度が実現する。この制度が導入されれば、サムスン電子とSKハイニックスなどの韓国国内の主要な半導体企業をはじめとする素材・部品・装備メーカーが待ち望んでいた先制的な支援がなされるものと期待されている。

共に民主党のキム・テニョン議員は最近インタビューで、いわゆる「チップス3法」の立法が準備段階に入ったのに続き、半導体企業の税額控除を受け取ることができる市場造成を骨子とする租税特例制限法の一部改正案の国会提出を準備していると明らかにした。

これはインフレ削減法(IRA)の先端製造生産税額控除(AMPC)の補助金を取引する米国の市場をベンチマーキングすることで、企業は実質的に補助金を受け取ることができる効果が期待されるうえ、先行投資を通じた技術競争力の確保もできるようになるものとみられている。

AMPCは自動車やバッテリー、太陽光などの企業が米国でエコ製品を生産した場合、これらの企業に税額控除の恩恵を与える制度だ。米国ではAMPCの補助金の授受を司るクラックス・クライミット(Crux Climate)が昨年から運営をスタートしている。このプラットフォームを通じて、未来に発生する税額控除権を売却し現金を確保することができ、生産設備の建設などのための資金確保が必要な企業に有用に活用することができる。

実際に、サムスン電子やSKハイニックスなどの半導体企業は生産設備への投資のために現金補助支援を強く求めているが、韓国には補助金制度がなく、支援が行われていない。

キム議員は「世界的に半導体技術競争が激化しているため、スピーディーに投資がなされなければならないが、半導体を生産・販売した後に税額控除を受け取るようでは遅れを取ってしまう」と述べ、「税額控除を先に受け取ることができれば先行投資が可能になり、先端半導体の競争力確保が可能になる」と述べた。さらに「税額控除権に関する第3者への譲渡制を導入すべきだ」として法案発議の必要性を強調した。

半導体業界のある関係者は「メモリー半導体価格の上昇局面を迎え、市場を先取りするための投資が急がれる」と語り、「税額控除権の取引により、投資に関する税額控除額を現金化できれば、先行投資につながるものとみられる」と述べた。
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