韓国裁判所「政府が導入した電力卸売価格の上限制度は合法」…ロシア・ウクライナ戦争による燃料費急騰で制度導入
韓国裁判所「政府が導入した電力卸売価格の上限制度は合法」…ロシア・ウクライナ戦争による燃料費急騰で制度導入
2022年2月にロシア・ウクライナ戦争が勃発し、国際燃料価格が急騰したことを受け、韓国政府が導入した電力卸売価格の上限制度は合法であるとする裁判所の判断が下された。民間発電会社は原油価格を適切に反映していないため不当であると主張したが、裁判所はこれを受け入れなかった。

 15日、韓国の法曹関係者によると、ソウル行政裁判所行政12部は、今年7月に民間発電事業者約800名が産業通商資源省(産通資源省)を相手に提起した電力清算代金の削減処分などの取消訴訟で、原告の敗訴判決を下した。産通資源省側には韓国電力取引所と韓国電力公社も補助として参加した。

 この訴訟は、2022年11月に産通資源省が告示を通じて導入した電力卸売価格(SMP・System Marginal Price)に上限を設ける「SMP上限制度」を巡って行われた。この制度は、韓国電力公社(韓電)が発電会社から電力を購入する際に支払う卸売価格を一時的に一定レベル以下に制限するものだ。韓電の電気購入価格は減らせるが、発電会社はそれだけ損失を被ることになる。

 この制度は2022年2月のロシア・ウクライナ戦争の勃発に伴い、燃料費が急騰し、導入された。2021年の年平均94.34ウォンだったSMPは、2022年4月には200ウォンを超え、12月には267.63ウォンまで上昇した。

 韓国政府は2022年5月にSMP上限制度の導入を予告し、同年11月、2023年1月、3月に告示を通じて上限制度を実施した。実施月の直前3か月のSMPが過去10年の月平均SMPの上位10%以上である場合に実施可能であり、SMP上限は過去10年の月平均SMPの1.5倍に制限する内容であった。一度の告示で1か月間に限り適用可能であり、連続3か月を超える適用は不可能であった。ただし、民間発電会社の燃料費が上限を超える場合には、損失を補填できるようにした。

 民間発電会社はSMP上限制度が不当であるとして訴訟を提起した。告示を通じてSMP上限制度を導入できるとする電気事業法の条項には、憲法違反の可能性があり、SMP上限制度は民間発電会社の基本権を侵害するという主張だ。

 裁判所は産通資源省に軍配を上げた。電気の公共財的特性を考慮すると、「電力取引価格」に一部制限を設けることは正当であるという趣旨だ。一審裁判所は「電気は国民の日常生活に不可欠な資源だ。電気料金が上昇すると物価上昇など国民経済に負担をもたらすことが予想されるため、電気販売事業に関して一定の制御と監督が必要である」とし、「電気使用者がいつでもどこでも『適正な』料金で電気を使用できるようにするためには、電気料金だけでなく、発電事業者と電気販売事業者の間で取引される電力取引価格についても法律による制限が伴う」と述べた。

 SMP上限制度および上限価格を電気事業法ではなく告示を通じて導入・決定したことにも問題はないとした。第一審裁判所は「(価格決定は)専門的・技術的能力と政策的考慮が要求されるため、法律に比べて柔軟な行政立法に委ねる必要がある」とし、「特にLNGのように全量を輸入に依存するエネルギー源は、国際情勢により価格が急騰するなど変動する。緊急調整上限価格制度の具体的な内容を法律に詳細に規定することは非常に困難である」と述べた。

 SMP上限制度の基本権侵害の有無については、制度が達成する公益に重きを置いた。第一審裁判所は「利害関係者の意見聴取、規制改革委員会等を経て損失が最小限になるよう適用対象と期間を限定し、2023年11月に効力を失うことを明確にした」とし、「発電機の燃料費が上限価格を超える場合の補償を設けている点などを考慮すれば、公益は発電事業者たちの侵害される私益と比較して大きい」と説明した。

 民間発電事業者たちは、第一審の判決に不服を申し立てて控訴した。
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