<W解説>韓国・最大野党の代表に李在明氏が再選=27年の大統領選を見据えるも、つきまとう「司法リスク」
<W解説>韓国・最大野党の代表に李在明氏が再選=27年の大統領選を見据えるも、つきまとう「司法リスク」
韓国の最大野党「共に民主党」は今月18日、党大会を開き、党代表にイ・ジェミョン(李在明)氏(59)を再選出した。李氏は2022年の大統領選に出馬し、ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領に僅差で敗れた。27年の次期大統領選でも党内有力候補と目されており、韓国紙の朝鮮日報によると、この日開催された党大会の会場を埋め尽くした党員からは「李在明大統領」と叫ぶ声が上がったという。次期大統領選への出馬を視野に、尹政権との対決姿勢を一層強めるものとみられる。

代表選には李氏のほか、閣僚経験もあるキム・ドゥグァン(金斗官)元キョンサンナムド(慶尚南道)知事ら計3人が立候補。党員投票の得票や世論調査などの数字を合算して争われ、李氏が85.4%を得て当選した。聯合ニュースによると、同党系列の政党の代表が再選を果たしたのは、1995年から2000年にかけて新政治国民会議の総裁を務めたキム・デジュン(金大中)元大統領以来という。また、今回の李氏の得票率は、これまでの代表選挙の得票率で最も高かった自らの前回の記録(77.77%)を上回った。5人の党最高委員も全員、李氏に近い「親・李在明系」が当選。朝鮮日報は「『共に民主党』の70年の歴史でこのように1人の代表が唯一無二の核となる単一体制は前例がない」と伝えた。

李氏は今回、「モクサニズム」(国民の生活の問題の解決)という新造語をスローガンに掲げ、代表選に挑んだ。当選後の演説で「政治の最も大きな責務は、まさに国民の暮らしを支え、希望をつくり出すことだ」とした上で、「私たちは今や、各自の立場で国民の生活の責任を負う、より有能な民生政党にならなければならない」と訴えた。

李氏は南東部キョンサンプクド(慶尚北道)アンドン(安東)郡(現・安東市)出身。貧しい家庭に育ち、小学校卒業後は少年工として働きながら検定考試に合格、中学・高校の卒業資格を得た。1986年に韓国の中央大学を卒業し、弁護士となった。その後、ソウル近郊のキョンギド(京畿道)ソンナム(城南)市長を2007年7月1日~2018年3月15日まで務めた後、2018年7月~昨年10月25日まで京畿道知事を務めた。

李氏はその後、2022年3月の大統領選に立候補し、最後まで尹大統領と激しい争いを繰り広げたが、得票率0.73 %差で惜敗した。3か月後に行われた国会議員補欠選挙に、首都圏のインチョン(仁川)の選挙区から出馬し当選。さらにその2か月後の党大会で党代表に選ばれた。李代表は党代表としてのこの2年間、尹政権を追及し、激しく対立してきた。日韓関係を重視する尹政権の外交姿勢に対しても「対日屈辱外交」として強く反発。今月15日の光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)には自身のSNSを更新し、「尹政権は歴史の前進に逆行している。とても顔を上げることができない恥ずかしい光復説」とした上で、「過去を正し、未来に進もうという常識的な訴えを無視して歴史を逆行させれば、国民と歴史の審判から決して逃れられない」と批判。「共に民主党はこの政権の没歴史的な屈辱外交と親日の歩みを止めることに全力を尽くす」と強調した。

同党は今年4月の総選挙で、与党「国民の力」に圧勝。国会(定数300)では、過半数の170議席を握っている。今回の党代表選で再選を果たした李氏は、総選挙での党の大勝を背景に、今後、尹政権への追及を一層強めていくものとみられる。

見据える先は2027年の大統領選だが、李氏には「司法リスク」がつきまとう。李氏は現在、京畿道城南市の市長時代の都市開発事業をめぐる不正疑惑などで複数の罪で起訴され公判中。10月には2件の判決が出る可能性があり、聯合ニュースは「判決次第では李氏の政治生命にかかわるため、与党『国民の力』も『共に民主党』のアキレス腱とみて攻勢を強める見通しだ」と伝えた。
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