韓国政府の医科大学の定員増員に反発した専攻医らが病院を離れて6ヶ月が過ぎた中、看護師や医療技師などの保健医療従事者もストライキを予告し、医療の空白が一層深刻化するものとみられている。

医療業界によると、看護師や医療技師などが属する全国保健医療産業労働組合は、今月61か所の病院を対象にストライキ断行についての賛否投票を行った結果、賛成率91.1%(2万9000人)で全面ストライキを可決した。全国保健医療産業労働組合は、看護師を中心に医療技師や療養保護士などの保健医療従事者が加入する労組だ。同組合は2021年以降毎年ストライキについての申請を行っており、2023年に19年ぶりに全面ストライキを断行している。

今回のストライキ断行についての賛否投票に参加してストライキを予告した61か所の病院は、国立中央医療院、韓国原子力医学院、キョンギド(京畿道)医療院などの公共病院31か所とカンドン(江東)キョンヒ(慶煕)大学病院、コリョ(高麗)大学医療院、ハニャン(漢陽)大学医療院など民間病院30か所だ。現在、全国保健医療産業労働組合は中央労働委員会、地方労働委員会にストライキの申請書を提出し、調整手続きを踏んでいる。調整に失敗した場合、29日の午前7時から全面ストライキに突入する。

全国保健医療産業労働組合はストライキを実施しても応急室や手術室、集中治療室、分娩室、新生児室などの患者の生命と直結する業務には人員を投入するとしているが、現場の懸念は深刻化している。ことし2月に専攻医が病院を離脱してから6ヶ月が経過し、現場を守る医療従事者の疲労度が蓄積している上、最近の新型コロナウイルスの再流行と熱中症患者の急増まで重なり、限界に達しているためだ。このような状況で、専攻医の不在を埋めてきた看護師らがストライキに参加した場合、医療現場で体感する影響力は少なくないものとみられている。

全国保健医療産業労働組合の要求事項は、早急な診療の正常化、不法医療の根絶と業務範囲の明確化、週4日制モデル事業の実施、間接雇用問題の解決、支給総額ベースで6.4%の賃金引き上げなどだ。各病院ではストライキが予告されている29日までに労組との合意を試みる予定だ。しかし専攻医の離脱後は各病院の経営事情が悪化しており、労組側の要求をすべて受け入れることは難しいとみられている。

この日、保健福祉部のチョ・ギュホン長官は医師集団行動中央事故収拾本部を設置し、「医療の空白を最小化するために集中すべき時」と述べ、「集団行動を自制し、病院側との積極的な対話と協議により現在の状況をともに解決してほしい」と要請した。

さらにチョ長官は「国民の生命を守り患者の安全を保護することは政府と保健医療に携わる人々の本来の任務であり、いかなる場合にも疎(おろそ)かにしてはならない」と述べ、「全国保健医療産業労働組合が予告しているストライキが断行された場合、専攻医の空白により負担が大きくなっている医療業界全体にかなりの支障が発生する可能性があり、その被害はそのまま国民に及ぶ」と訴えた。

中央事故収拾本部はストライキ断行時にも応急センターなどを通じて24時間非常診療体制を維持し、ストライキに参加しない公共医療機関を中心に非常診療を実施するとしている。
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