2015年9月、A(当時19歳)は両親が経営する食堂でアルバイトをしていたB氏(当時17歳)に出会い、恋人関係に発展した。
2人は両親の反対にもかかわらず、B氏が成人になるやいなや婚姻届を出して、大阪に新婚旅行に行った。
しかし、彼らの新婚旅行は日本に到着したその日の明け方に終わった。B氏がトイレで意識を失って倒れて死亡したのだ。
Aは現地警察に「妻がトイレで倒れて死亡したようだ」と急いで通報した。
通報を受けて出動した警察は、トイレで死亡しているB氏を発見した。近くには使用した跡のある注射器とニコチン原液が入った瓶があった。
Aは警察に「うつ病を患っていた妻が、酒をたくさん飲んで自殺した」と供述した。
当時、日本の警察は遺族の同意の下、B氏の遺体を司法解剖し、B氏が急性ニコチン中毒で死亡したことを確認した。
警察は、B氏が自殺したと判断し、捜査を終結した。その後、Aは日本で妻の遺体を火葬し、葬儀まで行なった後、韓国に戻った。
Aは妻の死亡から10日後の2017年5月4日、ある保険会社に電話をかけ「新婚旅行中に妻がうつ病で亡くなった」とし、死亡保険金である1億5000万ウォン(約1600万円)をくれと話した。
Aは新婚旅行に行く前、妻に旅行保険に加入させ、保険金の受取人を自分にしていた。
保険会社が自殺の場合は保険金の支給ができないと言うと、Aはため息をついてがっかりした様子を見せた。
保険会社の職員は直感的に異常を感知し、警察に情報提供したことで捜査が始まった。
捜査に乗り出した警察は、Aの家で日記帳を発見した。日記帳には具体的なニコチン殺人計画と共に「40歳になる前まで10億貯金」等の犯行動機が書かれていた。
Aを捜査した警察は、事件発生4か月前の2016年12月20日、Aが他の女性と日本旅行に行き、同じ手口で女性を殺害しようとした事実を発見した。
しかし、このような証拠は他殺を立証するには不十分で、警察は日本の警察に要請して解剖鑑定書を確保した。
鑑定書によると、死亡したB氏の腕に3つの注射痕が発見された。胃からはニコチンとアルコールが検出され、血液からはアルコールが検出されなかった。
事件当時、Aは妻が飲み過ぎた状態で自殺をしたと主張したが、死亡したB氏の血液からはアルコールが検出されなかったのだ。これは、B氏が酒が吸収される前に死亡したことを意味する。
専門家から諮問を受けた警察は、非常に強力な毒性物質であるニコチンは、1回注射するとすぐに毒性が広がり、腕の3ヵ所に自ら注射を打つことは不可能だという事実も突き止めた。
警察はAを追及し、ニコチンを妻に注入したという供述を引き出した。しかしAは「妻が自殺をしたいと言ったからニコチン注入を助けただけで、殺害したわけではない」と否認した。
その後、殺人などの容疑で裁判にかけられたAは、1審で無期懲役を言い渡された。当時、Aは心身微弱を主張して控訴した。
控訴審で裁判所は「被告人は新婚旅行を口実に妻を殺害するため周到に準備した」とし「妻は亡くなる直前にニコチン中毒で苦しんだはずだが、被告人は犯行を否認してうそをつくなど全く反省していない」として原審を維持した。
結局、最高裁まで行くことになったこの事件は、最高裁がAの上告を棄却し、無期懲役が確定した。
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