金泰孝・国家安保室第1次長(資料写真)=(聯合ニュース)
金泰孝・国家安保室第1次長(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の金泰孝(キム・テヒョ)国家安保室第1次長は3日、ソウル市内で開かれた「第1回世宗開かれたフォーラム」で「米大統領選と韓国外交安全保障戦略」をテーマに講演し、米大統領選でトランプ前大統領が当選した場合、米国が韓国に提供する戦略資産の展開において費用面で協議を求められるかもしれないとして、「米国の安保の傘が弱体化する可能性がある」との見方を示した。

 同盟を費用の観点で判断するトランプ氏が再び政権を握れば、北朝鮮の脅威に対応するための米国の拡大抑止の提供がバイデン現政権に比べて手薄になるという意味と受け止められる。

 ただし、トランプ政権になっても昨年に米ワシントン近郊の大統領山荘キャンプデービッドで行われた韓米日首脳会談で得られた成果と協力体制は維持されると予想した。

 金氏は「既存の北のミサイル警報情報リアルタイム共有システム、多年間にわたる3カ国訓練計画、サイバー協力などの安保分野があるため、米国が必ず必要とするキャンプデービッドの成果には手を付けないだろう」と説明した。

 トランプ氏が当選した場合に期待できる点としては防衛産業輸出を挙げ、紛争地域に対する安保不安が高まり、各地で韓国防衛産業の輸出機会が拡大することもあり得るとの考えを示した。

 また、米国が対中国のみならずウクライナや中東での戦争に対しても国防費支出を増やしているとしながら、米国の国防費支出が増えればそれだけ韓国防衛産業企業の米国市場進出の可能性が高まり、なかでも船舶修理・整備分野で韓国の優れた技術が求められていると説明。米国が中国産の自動車部品やバッテリーの輸出に圧力をかけている中で韓国産部品が利益を享受できるとも見込んだ。

 一方、金氏はトランプ政権の発足により対中経済制裁や政治・外交・軍事的圧力への参加が求められかねないとし、東シナ海・南シナ海問題やインド太平洋地域全般において韓国に対しより明確な立場や寄与が求められる可能性は民主党よりも共和党の方が大きいだろうと分析した。

 金氏は、トランプ氏は依然として北朝鮮との首脳会談を望んでいるとした上で、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)がトランプ氏のショーマンシップ気質を利用し、韓国を排除して米国と対話する「通米封南」戦略を駆使すると予測した。 

 ただ、トランプ氏側は19年にベトナム・ハノイで行われた南北首脳会談で北朝鮮政権に対する期待値が相当低くなったため、過去のような方法の交渉は行わないだろうと予想した。


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