韓国政府は関係官庁や法律事務所、外部の専門家らと英国裁判所の却下を検討した結果、韓米自由貿易協定(FTA)の解釈などに重大な誤りがあると判断し、控訴を決めたと説明した。
サムスングループは2015年、創業家の経営権継承に絡み、第一毛織とサムスン物産の合併を進めた。当時サムスン物産の株式の7.12%を保有していたエリオットは、合併比率がサムスン物産の株主に不合理だとして合併に反対したが、株主総会で可決された。
これについてエリオットは韓国政府が、サムスン物産の大株主で韓国政府系の国民年金公団に賛成票を投じるよう圧力を行使したと指摘。韓米FTAで定めた義務に韓国政府が違反したとし、18年7月、投資家対国家の紛争解決(ISDS)の手続きとしてPCAに仲裁を申し立てた。
PCAはエリオット側の主張を一部認め、韓国政府に賠償金などの支払いを命じたが、政府は韓米FTAの「管轄違反」を根拠に、PCAが裁判を行う権限のない事件について裁定したと主張。取り消しを求める訴訟を英国裁判所に起こした。
これに対し、英国裁判所は今年8月、韓国政府が根拠に挙げた韓米FTAの条項は英国の仲裁法上、裁判権がある領域ではないとして訴えを却下した。
韓国政府が控訴審で勝訴する場合、事件は一審に差し戻される。政府は、控訴しなければ今後同様の、または類似した投資協定の解釈と適用に否定的な影響を及ぼす恐れがあるとし、不当なISDS手続きが増える懸念があることも考慮したと明らかにした。
一方、エリオット側は韓国政府に対して控訴の再考を促す立場を表明し、「コリアディスカウント(韓国株の低評価)を固定化させる行為」と批判した。
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