英国政府は11日、暗号資産(仮想通貨)やデジタル資産の法的地位に関する法案を議会に提出した。

英国で初めて暗号資産、非代替トークン(NFT)、トークン化された現実資産(RWA)などのデジタル資産が、法律上で個人財産とみなされることになる。

これまで、デジタル資産はイングランドとウェールズの財産法に明確に含まれていなかったため、資産が侵害された場合、所有者は法的にグレーゾーンに置かれることになった。

今回提案された新たな法案は、デジタル資産を保有する個人や企業に、詐欺などに対する法的保護を付与するものである。 また、離婚などのデジタル資産の所有権に関する紛争が発生した場合に従うべき法律家にとってのガイドラインとなる。

ハイジ・アレクサンダー法務大臣は次のようにコメントしている。「イギリスの法務サービス業界は世界をリードし、英国経済の重要な部分を占めている。また、経済成長を促進し、英国を国際法務業界の中心に置いている」とし、「この法律により、英国の法律業界は暗号資産の世界的リーダーとしての地位を維持し、複雑な財産訴訟に明快さをもたらすことができる」と述べた。

現在、英国では、財産は所有物(things in possession:金、お金、車など)と活動中の物(things in action:借金、株式など)の2つのカテゴリーに分類されている。

今回の法案は、一定のデジタル資産に個人財産権を適用できるように第3のカテゴリーを導入するものである。

英国では、7月の選挙で労働党に政権交代し、暗号資産を促進する政策を積極的に進めていたリッシー首相が退任。キア・スターマーが首相として就任した。

スターマー首相は、暗号資産に対する立場を明確にしておらず、政策の行方が注目されたが、今回の法案は英国が引き続き暗号資産に前向きであることを示した。

与党である労働党は1月時点で「英国をトークン化の世界的リーダーにすることを目指す」という文書を発表した。

ビットコインなどの暗号資産には言及していないが、証券トークン化や中央銀行デジタル通貨(CBDC)に言及している。

労働党は、資産トークン化を通じて流動性を高め、新しい資産クラスと分割された資産へのアクセスを提供し、リスク管理を強化することができると指摘していた。また、トークン化された国債を試験的に発行することでこの技術の影響を検証するという構想も言及した。
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