<W解説>韓国野党の一部議員が尹大統領からの名節ギフトの受け取り拒否、正しい行動と言えるか?
<W解説>韓国野党の一部議員が尹大統領からの名節ギフトの受け取り拒否、正しい行動と言えるか?
韓国は、今月17日に中秋節「チュソク(秋夕)」を迎える。韓国でも、日本のお中元のように、秋夕に合わせて普段お世話になっている人などに贈り物を贈る習慣がある。ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領も各界の重鎮らにギフトセットを贈ったが、韓国の野党「共に民主党」や「祖国革新党」などの一部議員たちは受け取りを拒否した。韓国では2日に通常国会が開会した。通常国会の開会式と合わせて第22代国会の始まりを告げる開院式も開かれたが、尹大統領は式に出席しなかった。異例の事態に野党議員たちは批判を強めており、こうした状況下でギフトを受け取ることはできないとして、尹大統領から贈られたギフトの受け取りを拒否した。しかし、旧正月と並ぶ韓国の代表的な年中行事である秋夕に、一国の大統領からのギフトの受け取りを拒否する行為は、有権者に選ばれた議員としてふさわしい行動だろうか。野党議員の中からも批判の声が上がっている。

秋夕と言えば、親戚一同が故郷に集まって先祖の墓参りをしたり、食事をしたりするのが一般的な過ごし方だ。「民族大移動」と言われる大規模な帰省ラッシュで高速道路の大渋滞や、故郷に帰る人たちでソウル駅がごった返す様子はお決まりの光景だ。

秋夕を前に、毎年デパートやスーパーでは「秋夕ギフト商戦」が展開される。高価格帯の高級ギフトセットも需要があるが、今年は昨今の物価高を受けて、「コスパギフトセット」も様々販売された。

尹大統領も、今年の旧正月に続き、秋夕に合わせてギフトを各界の重鎮らに贈った。伝統酒と化粧品がセットになっている。「明るい満月と共に、幸せな名節をお過ごしください」などと尹大統領が記したメッセージカードも添えられた。

ギフトは国会議員にも贈られたが、「祖国革新党」や「共に民主党」など野党の一部議員は受け取りを拒否した。「祖国革新党」のある議員はSNSを通じて「少し前に議員室に嬉しくない贈り物が届いた」と尹大統領からギフトが届いたことを明らかにし、「私が『受け取らない』と言っていた贈り物をとうとう送ってきた。大統領の贈り物は見たくなくてすぐに返送した」と記した。

韓国では、今月2日に通常国会が開会した。与野党は激しく対立しており、今国会では、予算審査や法案の審議などで激しい主導権争いを繰り広げるとみられている。2日には通常国会の開会式と共に、4月の総選挙で選出された議員による第22代国会の始まりを宣言する開院式が開かれた。開院式は当初、7月5日に予定されていたが、与野党の対立で開かれないまま時間が過ぎ、2日、「『通常国会の開会式』兼『第22代国会開院式』」という形でようやく開かれた。しかし、開会式・開院式に尹大統領は出席しなかった。現職大統領が欠席したのは、87年の民主化宣言に基づき、88年から韓国で採用されている政体「第6共和国」の発足後初めてのことだった。

この異例事態の直後に、尹大統領から秋夕ギフトが送られてきたことに、野党議員たちは不快感を示した。野党「進歩党」のユン・ジョンオ代表らは、「国会の開会式にも来ない大統領の贈り物は返送する」とした。「祖国革新党」のキム・ジュンヒョン議員は、届いたギフトを配達員に返す写真をSNSに投稿した。しかし、こうした行為は、同じ野党議員からも批判が出ている。「新しい未来党」のチョン・ビョンホン代表はSNSに、「戦場のように熾烈(しれつ)な国会だが、与野党議員らに大統領が秋夕と旧正月に贈り物をすることもまた古い慣行であり、美徳だ」とした上で、「最低限の人間的な情まで断ち切って、強硬な支持層の扇動に利用するのは、数少ない協治(政治協力)の可能性さえはねつけてしまっている印象を与える」と非難した。

野党に求められているのは「ギフト拒否」のパフォーマンスではなく、国会で論戦をたたかわせることだろう。
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