FOMCのプレスリリースで、インフレ率が目標の2%に持続的に向かっていることに対する自信がより強くなり、雇用とインフレ目標達成に対するリスクがほぼ均衡していると判断したと説明した。一方、経済見通しには不確実性があるとし、今後も雇用とインフレに注意を払うとした。
FOMCとは「Federal Open Market Committee」の略で、米国の金融政策を担当する最も重要な機関を指す。
今回の金利引き下げで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標範囲は4.75%~5%となった。2023年7月に金利を0.25%ポイント引き上げた後、目標範囲を凍結したが、2020年3月以来、4年半ぶりの金利引き下げだ。
今回のFOMCの会合で利下げを実施すること自体は示唆されており、注目すべき点の一つは利下げの幅だった。
今月発表された8月の米消費者物価指数(CPI)などの影響で、一時は0.25ポイントの利下げが行われるとの見方が強まったが、先週「ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)」と「フィナンシャル・タイムズ(FT)」が0.5ポイントの利下げの可能性を報道したことで、市場は大幅な金利引き下げを含ませた。
年4回公表される今回の経済予測によると、2024年末時点のFF金利予測の中央値は4.4%で、2025年末時点では3.4%。この予測に基づくと、今年はさらに0.5%ポイントの金利引き下げが行われることになる。今年行われる残りのFOMC会合は11月と12月の2回だ。
FRBは定期的に発表される経済データも見ながら金融政策を決定するため、ドットチャートの信頼性に疑問を呈する声がある点は注意が必要だ。FRBのパウエル議長も会合後のブリーフィングで、金融政策は事前に決定されたものではなく、会合ごとに決定していくことを強調した。
今回のFOMCで他に注目されていたのが、FOMC参加者による経済の見通し。最近ではインフレが落ち着きつつある一方で、景気後退への懸念が高まっていた。
経済予測によると、2024年末と2025年末時点の失業率予測の中央値はいずれも4.4%。6月時点ではそれぞれ4.0%と4.2%であったため、失業率の上昇が予想されているが、先月の失業率4.2%から大きな上昇はなかったという観測が出ている。
雇用統計データは8月の金融市場の急落をもたらした重要な統計である。パウエル議長は会見で「今回の利下げ決定は、緩やかな成長と継続的にインフレ率が2%に向かっている状況で、政策スタンスを適切に再調整することで、労働市場の強さを維持することができるという我々の確信の強さを反映している」と述べた。
0.5ポイントの利下げ発表(日本時間19日3時)を受けてNYダウやナスダック総合指数、ビットコイン(BTC)は一時的に上昇したが、その後は下落。ビットコインの価格は現時点で60,231ドル(約855万円)で推移しており、前日比マイナス0.2%となった。
金利引き下げ幅が大きく、現時点では景気の先行きも悪くなかったため、株式や暗号資産(仮想通貨)などのリスク資産には通常は追い風となるはずだが、前述の通り0.5ポイントの金利引き下げが含まれていたため、利益確定売りが出たという見方がある。また、米国の長期金利が上昇したことも影響しているようだ。
今後については、金利引き下げ局面に入ったことが重要であるとの指摘もあり、特にビットコインは米国で現物ETFが誕生したり、半減期を迎えることで価格上昇に期待が高まっている。
今後の注目点としては、引き続き米国の景気と大統領選挙、中東情勢、日本銀行の金融政策などが挙げられる。
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