尹大統領と与党執行部の夕食会は韓氏が代表に選出された7月の党大会直後以来の開催だったが、韓氏が求めていた尹大統領との1対1の会談は実現せず、政界では当分の間政府と与党間の緊張関係が続く可能性があるとの見方が出ている。
夕食会は当初先月30日に開かれる予定だったが、秋夕(チュソク、旧暦8月15日)以降へと突然延期された。日程が決まる前に、尹大統領が自身に近い「親尹派」とされる一部の最高委員のみを公邸に招いて夕食会を開いたこともあった。
この日の夕食会の前に「韓氏が単独会談を要請した」と報じられてからも、親尹派と韓氏に近い「親韓派」の間では神経戦が繰り広げられた。
与党代表による会談の要請を大統領室が事実上拒否したことに対し、党内外では「大統領と野党代表の関係のようだ」という声も上がっている。
夕食会の出席者の1人は聯合ニュースの取材に対し、「重要懸案に関して話す機会がそもそもなかった」として「手ぶらの夕食会」だったと説明した。
1対1の会談が開かれなかった理由については、双方とも明確に説明していない。
党内でも推測が広がっているが、大学医学部の定員増を柱とする医療改革における政府と医師側の対立をはじめ、尹大統領の妻の金建希(キム・ゴンヒ)氏を巡る疑惑や、昨年の水害で行方不明者を捜索中だった海兵隊員が殉職した事故に絡み、捜査に圧力がかけられた疑惑を政府から独立した特別検察官に捜査させるための特別法への対応など、当面の懸案に対する双方の立場の隔たりが影響したのではないかとの分析が出ている。
党内はこのような不協和音が「親尹派」と「親韓派」の対立につながるのではないかと神経をとがらせている。
政界では、尹大統領と韓氏の会談が空振りに終わった余波が早期に収束せず与党の内部分裂へと広がれば、尹大統領の国政運営にも悪影響を及ぼすとみている。尹大統領と与党の支持率がいずれも下落傾向にあるなか、大統領と与党代表のコミュニケーションが成立していないというイメージが加わる可能性もあるためだ。
韓氏についても、党内の基盤が弱い状況で大統領とのぎくしゃくした関係が続けば掌握力がさらに弱まる恐れがあるとの見方が大勢だ。
この日の夕食会で韓氏は大統領室側に改めて会談を要請したが、返事はなかったとされる。
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