先月27日、岸田文雄前首相の後継を決める自民党総裁選の投開票が行われた。総裁選には過去最多の9人が立候補。1回目の投票ではいずれの候補者も過半数に届かず、決選投票の結果、石破氏が第1回投票でトップだった高市早苗氏を逆転で破り、第28代総裁に選出された。石破氏は5回目の総裁選挑戦で、総裁の座をつかんだ。10月1日に召集された臨時国会で第102代首相に指名された。
新総裁に石破氏が選出された際、韓国の各メディアもこのニュースを詳しく報じた。公共放送のKBSは選挙結果を伝えた上で、石破新総裁について「自民党内では右翼性向の議員とは異なる『ハト派』的な歴史認識を示してきた点が特徴的で、太平洋戦争のA級戦犯を合祀している靖国神社への参拝に対しても否定的な考えを示している」と紹介した。また、「韓日関係が悪化した時にも、関係改善に積極的な意思を示してきた」と伝えた。
東亜日報は「保守強硬派だった安倍氏(安倍晋三元首相)と対立し、非主流派だった石破氏は、自民党の有力政治家の中で韓日関係に比較的前向きと評価されてきた」とし、「(総裁選で)靖国神社参拝を公言した右翼性向の高市氏と比べると、穏健派だ」と紹介した。
ハンギョレは、「自民党の政治家の中では(問題に)前向きなほうだ」と紹介した一方、元徴用工訴訟問題で、韓国の大法院(最高裁)が日本企業に賠償を命じた判決は国際法違反だと考えていることや、韓国が実効支配している島根県の竹島(韓国名・独島)の領有権を主張していると指摘。与党・自民党の保守政治家であることに警戒感を示した。
石破新総裁の選出を受け、韓国大統領室は先月27日、今後の日韓関係について言及。「両国は自由、人権、法治の価値を共有し、安全保障、経済、グローバルアジェンダで共通の利益を追求する最も近い隣国であり、協力パートナーだ」とした上で、「韓日関係の前向きな流れを継続するため引き続き努力していく」と表明した。最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)代表は石破氏について「隣国の野党の代表として心からお祝い申し上げたい。韓日関係が未来志向の関係に発展するきっかけになることを望む」とした一方、歴史問題について「覆い隠すか目をそらすことで問題が解消されるわけではない」と述べた。その上で、「ドイツが事実を認め、十分に謝罪を表明し、欧州で先導的な国として位置付けられたように、日本も北東アジアで指導的な国として位置付けられることを期待する」とし、「韓日関係も新しい基盤の上で発展的に確立することを期待する」と強調した。
石破氏は4日、首相に就任後初の所信表明演説に臨んだ。日韓関係にも言及。「日韓間には難しい問題もあるが、来年に国交正常化60周年を迎えることも見据え、岸田(前)首相と尹錫悦大統領との間で築かれた信頼関係を礎に、日韓両国の協力をさらに堅固で幅広いものにしていく」と述べた。
これに先立ち、石破氏は2日、尹氏と電話会談を行った。国交正常化60年となる来年は、両国の国民がそれを体感できる成果を出していく方針で一致した。また、北朝鮮による挑発が続く中、日韓、日米韓が一致して対応する必要があるとの認識で一致した。
石破氏は9日に衆議院を解散した後、ラオスを訪れ、ASEAN関連首脳会議に出席する予定。聯合ニュースによると、韓国大統領室の高官は3日、記者団に「(石破首相が)ラオスを訪問することを前提に韓日会談について協議している」と明らかにした。韓国メディアのイーデイリーは「石破首相と尹大統領が初めての会談の席でどれだけ個人的な親交を深めることができるか注目に値する」と指摘した。
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