<W解説>北朝鮮・金総書記と中国・習主席が交わした「友好年」の祝電から伺える、日朝関係の停滞
<W解説>北朝鮮・金総書記と中国・習主席が交わした「友好年」の祝電から伺える、日朝関係の停滞
中国と北朝鮮は今月6日、国交樹立から75年の節目を迎えた。これに合わせ、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記と中国の習近平国家主席は祝電を交わし、友好関係を引き続き強化していく姿勢を強調した。中朝は今年を「友好年」と位置付け、表向きは連帯をアピールしているが、北朝鮮とロシアが急接近したことで友好ムードは盛り上がりを欠いているとされる。聯合ニュースは「両氏は5年前の国交樹立70年の際にも祝電を交わしているが、当時と比べると分量が少なく、友好を呼び掛けるトーンも落ち着いたとの指摘が出ている」と伝えた。

北朝鮮の朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は6日、金総書記と習国家主席の間で交わされた祝電を掲載した。この中で、金総書記は「長い歴史と優れた伝統を持つ朝中の友情を継承し、発展させることは、両国の根本的利益に合致する」とした上で、「新しい時代の要求に即して、強化し発展させるために引き続き努力する」とした。習国家主席は「中朝が75年前、正式に外交関係を樹立し、両国関係の新たな歴史のページを開いたことは、画期的で重要な意義を持っていた」とした上で、国交樹立75周年を契機に「戦略的な意思疎通を強化し、交流と協力を深めていく」と強調した。

また、北朝鮮メディアによると、北朝鮮のチェ・ソンヒ(崔善姫)外相と中国の王毅外相との間でも6日、祝電が交わされたという。崔外相は「複雑な国際情勢の中、朝中友好を引き続き発展させる」とした。王外相は「中朝関係を強固にし、発展させるのは中国の党と政府の確固不動の方針だ」と強調した。

2018年3月、金総書記と習国家主席は初めて首脳会談を行った。以降、中朝関係は表面的には安定を維持してきた。今年元日に両氏が交わした祝電では、2024年を「朝中親善の年(中朝友好年)」に定めたことに触れ、友好関係を再確認した。4月には中国共産党序列3位のチャオローチー(趙楽際)・全国人民代表大会(全人代)常務委員長が訪朝し、金総書記と会談。金総書記は趙氏らの訪朝について「伝統的な両国の親善協力関係を時代の要求に合わせ一層強化・発展させるために非常に重大な意味を持つ」と歓迎した。趙氏は両国の実務協力について「新たな成果が得られるよう推進したい」とした。

一方で、北朝鮮はロシアに急接近し、6月にはロシアのプーチン大統領が北朝鮮を国賓として訪問。プーチン大統領の訪朝は2000年7月以来、24年ぶりのことだった。当時、プーチン大統領は金総書記と首脳会談を行い、両首脳は、経済や安全保障分野の協力を盛り込んだ戦略的パートナーシップに関する条約に署名した。

一方、中国はロ朝の蜜月に複雑な思いを抱いているとみられ、ロ朝首脳会談が行われた際、中国外務省の報道官は「首脳会談はロシアと北朝鮮の2国間交流だ」と述べるにとどめた。

9月、北朝鮮が建国記念日を迎えた際、中朝とロ朝との親密度の違いが改めて浮き彫りになった。建国記念日に合わせ、金総書記のもとには習主席、プーチン大統領から共に祝電が寄せられたが、プーチン大統領は今年に入ってそれまでに複数回にわたり金総書記と祝電をやり取りしていた一方、習主席が送ったのはこの時点で今年1月1日以来、2回目だった。当時の韓国・聯合ニュースは「ウクライナ戦争勃発後に北朝鮮とロシアが接近する一方、中朝は疎遠となった」と伝えた。

聯合は、中朝の国交樹立から75年に合わせ、今月、金総書記と習主席との間で交わされた祝電の分量に着目。両氏は5年前の国交樹立70年の際にも祝電を交わしているが、聯合は「金氏の祝電は5年前の809字から497字に、習氏のものは435字から309字に減っている」と指摘した。さらに「金氏は5年前の祝電で『尊敬する習書記同志』とし、両国の親善を『古今東西、例のない格別なもの』と表現して友好関係を強調した。しかし、今年は習氏の前に『尊敬する』がなく、内容も落ち着いたものとなった」と分析した。

友好年の記念行事が開かれた2009年とは対照的に、今回は記念日に合わせた高官往来など関連する動きも見られなかった。一方、金総書記は7日、同日に72歳の誕生日を迎えたロシアのプーチン大統領に「最も親しい同志へ」などとする祝電を送った。

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