韓国軍の監視カメラが捉えられた東海線の道路爆破の様子(合同参謀本部提供)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
韓国軍の監視カメラが捉えられた東海線の道路爆破の様子(合同参謀本部提供)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
【ソウル聯合ニュース】韓国軍合同参謀本部は15日、北朝鮮が同日正午(日本時間同)ごろ、南北をつなぐ道路の北朝鮮側の一部区間を爆破したと明らかにした。これにより、これら道路の敷設に使われた韓国側資金約1億3000万ドル(約200億円)が無駄になった。

 韓国政府は2023年6月、北朝鮮が南西部の開城工業団地内の南北共同連絡事務所を20年6月に爆破したことに対し、北朝鮮に損害賠償を求める訴訟を起こした。今回も韓国の資金が投じられた施設が破壊されたため、政府が北朝鮮に法的責任を問うのか関心が集まっている。

 北朝鮮が爆破したのは、朝鮮半島の西側の京義線と東側の東海線。

 鉄道の京義線はソウル駅から高陽、坡州を経て北朝鮮の開城、平壌、新義州に至る総延長499キロの路線で、1906年に日本によって開通した。鉄道の東海線(東海北部線)は韓国北東部の江原道・襄陽と北朝鮮の元山を結ぶ180キロをつなぐ路線で、金剛山が区間に含まれる。

 南北分断により断絶した京義線と東海線の鉄道、鉄道と並行する道路の再連結は、南北協力の象徴とされてきた。

 2000年に行われた当時の金大中(キム・デジュン)大統領と金正日(キム・ジョンイル)総書記による初の南北首脳会談で、南北は京義線と東海線の鉄道・道路の連結に合意し、02年9月に着工式が行われた。

 その後、08年に金剛山で観光旅行中だった韓国人が北朝鮮軍の兵士に射殺された事件や、北朝鮮の核実験などにより、南北関係は冷え込んだが、京義線と東海線は南北協力の象徴的存在として残っていた。

 文在寅(ムン・ジェイン)前政権下の2018年には鉄道と道路の連結・近代化に南北が合意し再度着工式が開かれたが、北朝鮮の挑発が続き、実質的な進展はなかった。

 北朝鮮は昨年末から、南北間の陸路断絶のために、道路周辺への地雷の埋設、街灯の撤去、レールの撤去などを続けてきた。

 また今月9日には北朝鮮の朝鮮人民軍総参謀部が「大韓民国と連結されているわれわれ側地域の道路と鉄道を完全に断ち切り、堅固な防御構造物で要塞化する工事が行われることになる」と発表。工事には爆破作業も含まれるとしていた。

 韓国軍が前日、北朝鮮が京義線と東海線付近で南北連結道路を爆破するためとみられる活動を行っていると明らかにしてから1日での爆破となった。

 韓国政府によると、京義線と東海線の鉄道と道路の連結事業は韓国政府からの借款として進められ、2002~08年にかけて約1億3290万ドルが投じられた。北朝鮮はこの借款を返済していない。

 北朝鮮が京義線と東海線道路の街灯を撤去した今年4月、韓国政府は京義線と東海線の鉄道・道路連結事業は韓国政府の借款で行われたとし、「北に償還義務があることを明確にする」と強調していた。


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