<W解説>朝鮮半島で戦争が起きたら?=韓国国民「参戦する」は少数、北朝鮮住民は軍入隊志願者増
<W解説>朝鮮半島で戦争が起きたら?=韓国国民「参戦する」は少数、北朝鮮住民は軍入隊志願者増
韓国と北朝鮮の関係悪化が進む中、韓国紙の中央日報は16日、「(朝鮮半島で)戦争が起きた場合、『戦闘に参戦する』と答えた韓国国民が13.9%にすぎなかったことが分かった」と伝えた。「参戦する」との回答はこの10年で8.8ポイント下がったという。一方、北朝鮮メディアは15日、140万人を超える北朝鮮の若者が、軍に入隊または復隊を志願したと主張した。北朝鮮の国営、朝鮮中央通信は、若者らは「革命の武器で敵を滅ぼす神聖な戦争」を戦う決意だと伝えた。韓国のキム・ミョンス合同参謀議長は10日、「北朝鮮が戦争を起こす可能性は高くない」との見解を示した一方、米国のシンクタンクの専門家は7日(現地時間)、外交専門誌への寄稿で、「朝鮮半島で戦争が勃発する可能性が、1950年の朝鮮戦争以降で最も高まっている」と主張した。北朝鮮は15日に韓国とつながる北朝鮮側の道路と鉄道の一部を爆破。韓国を「敵対国家」として規定した憲法に基づく措置だとしている。爆破を受け、韓国軍は南北の軍事境界線の南側の地域で対応射撃を行うなど、南北は今、軍事衝突につながりかねない緊迫した状況となっている。

韓国国会の国防委員会所属のファン・ヒ議員は16日、国防大学が実施した「2023年全国民安保意識調査」の結果を公開した。それによると、「万一、朝鮮半島で戦争が起きた場合どうするか」との問いに「戦闘に参戦する」との回答は13.9%だった。この回答の割合は、2014年(22.7%)、2020年(20.9%)に比べ大きく下落していることがわかった。一方、「戦闘に直接参加することができないが、後方で軍を支援する」との回答は48.2%に上ったほか、「ひとまず危険が少ない場所に避難する」(27.3%)、「外国に行く」(3.2%)といった回答も見られた。

結果を公開したファン議員は「最近、南北間の軍事的な緊張が高まっており、国民の不安と心配が増えている。南北が一日も早く対話のチャンネルを再開しなければならない」と訴えた。

調査は昨年6月、18~75歳の韓国国民の男女1200人(面接調査)、国防・安保専門家100人(ウェブ調査)を対象に行われた。

今年1月、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記は韓国を「われわれの主敵」と断定。「われわれの主権と安全を脅かそうとするなら、躊躇(ちゅうちょ)なく完全に焦土化する」と強調し、韓国への武力侵攻を「一方的には決行しないが、戦争を避ける考えは全くない」と述べた。

米国のシンクタンク「スティムソンセンター」のロバート・マニング上級研究員は今月7日、外交専門誌「フォーリン・ポリシー」への寄稿で、朝鮮半島で戦争が勃発する可能性について、1950年の朝鮮戦争以降、最も高まっていると指摘。「北朝鮮は今後6か月から18か月の間に劇的な行動に打って出る可能性を高めている」と分析した。

一方、韓国のキム・ミョンス合同参謀議長は、10日に行われた国会国防委員会による国政監査で、野党議員から「北朝鮮との戦争の可能性をどう認識しているか」と問われ、「戦争の可能性が高いという一部の意見があることは知っている」とした上で、「情報判断から考えて、われわれの準備態勢は確固としたもので、北朝鮮の戦争の可能性は高くない」と答弁した。

また、韓国大統領府のシン・ウォンシク国家安保室長は13日、「北朝鮮は自殺を決意しなければ戦争を起こすことはできないだろう」と述べた。この発言に、韓国紙のハンギョレは「強い批判の声が上がっている」と伝えた。その理由について同紙は「大統領の安保分野の最高位級参謀が、北朝鮮には『戦争はできないだろう』と断定するのは、それそのものが重大なメッセージになる上、北朝鮮の金総書記を刺激すれば、北朝鮮が局地的な挑発に打って出るなど、レッドラインを越えてくる可能性も生じうるからだ」と解説した。

北朝鮮の朝鮮中央通信は17日、北朝鮮が韓国を「徹底した敵対国」と明記した憲法改正を行ったと報じた。北朝鮮は15日、韓国とつながる北朝鮮側の道路と鉄道の一部を爆破したが、同通信は爆破について、「予測不可能な戦争接境へと突き進んでいる深刻な安全保障環境から出発した、必然的かつ合法的な措置」と主張した。

北朝鮮の国営、朝鮮中央通信は16日、北朝鮮で学生や青年団幹部を含む約140万人の若者が軍への入隊や復隊を志願したと伝えた。同紙は若者らが「革命の武器で敵を滅ぼす神聖な戦争」を戦う決意だと、「戦争」というワードを用いながら韓国への対決姿勢を強調しており、朝鮮半島は今、きな臭い雰囲気を漂わせている。
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