会合は約80分間行われた。韓氏は尹氏との1対1の面会を求めていたが、大統領秘書室長が同席した。両氏が会合を開くのは7月30日以来、約2か月半ぶり。尹氏は先月24日、韓氏をはじめとする「国民の力」の執行部を大統領室庁舎に招いて夕食会を開催。韓氏はこの場で尹大統領との会談を求めていたが、実現しなかった。尹氏が事実上、会談の要請を拒否したためだ。
前述のように、両氏の関係は、尹氏の妻、金氏の不正疑惑をめぐって対立したことが発端で冷え込んでいる。尹氏は今月6日、東南アジアを歴訪したが、出発の際、空港で見送った「国民の力」の幹部らの中に、韓氏の姿はなかった。大統領見送りの場に、与党の代表が出向かないのは異例のことだ。
韓氏はかつて、大検察庁(最高検)検事長など検察で要職を務め、「エリート検事」として名をはせた人物だ。尹氏も検事出身で、韓氏は尹氏の検察時代に最側近だったとされる。韓氏は特に保守層から支持が高く、将来の大統領候補として期待する声もある。
「国民の力」は今年4月の総選挙で大敗。党は立て直しを迫られ、代表の韓氏には、大統領の尹氏との関係を修復し、協力して突破口を見出すことが求められた。
韓氏と尹氏の関係が悪化する要因となった金氏をめぐる疑惑は、検察が今月、金氏を不起訴処分としたが、国民の不信感は和らいでいない。
21日に行われた韓氏と尹氏の会合では、金氏をめぐる疑惑の収拾策などを中心に協議されたとみられる。韓国の公共放送KBSが、同党の説明として伝えたところによると、韓氏は金氏をめぐる問題の解消に向け、尹氏に対し、「支持率の悪化に対応するため、思い切った変化と刷新が必要だ」とし、金夫人に近いとされる大統領室関係者の交代や、金夫人の公の活動の中止、金夫人をめぐるさまざまな疑惑への釈明の3つを求めたという。また、聯合ニュースによると、韓氏は現在空席となっている、金氏や親族らの不正を調べる特別監察官を速やかに任命するよう要請したという。
さらに韓氏は、尹氏や同党に向けた世論の批判が高まっているとして、変化と刷新が必要だと強調。聯合によると、医療改革をめぐる政府と医師側の対立解消に向けた与野党と医療界、政府による協議体を早期に立ち上げる必要性も訴えたという。
約2か月半ぶりに行われた会合で、両氏の意見の相違が縮まるかどうかに注目が集まったが、朝鮮日報は22日付の社説で「会談の直後、大統領室と『国民の力』はいずれも争点事案についてどのような結論を出したのか明らかにしなかった」とし、「どちらも具体的に明かさない様子は、現在、与党側が直面している非正常な状況を示している」と指摘した。
世論調査会社のリアルメーターが21日に発表した調査の結果によると、尹氏の支持率は24.1%で、就任以来、最低となった。公共放送KBSは「最大野党『共に民主党』など、野党が金夫人をめぐる疑惑を口実に大統領の弾劾まで言及する中、このリスクをどう乗り切るかが、来月、5年の任期の折り返しを迎える尹政権の今後の政局運営のカギとなりそうだ」と指摘した。さらに、KBSは韓氏が前述の3つの要求をしたのは「金夫人をめぐって株価操作の疑惑や高級バッグ収賄の疑惑に続いて、総選挙での候補後任への疑惑まで浮上し、支持率が悪化していることが背景にあるとみられる」と伝えた。
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