10月に入ってからドルに対するウォンの為替レートが果てしなく上昇し続け、いつのまにか警戒水位の1400ウォンを伺う水準にまで達している。米国と日本の政治的不確実性に加え、世界的なドル高が続いており、韓国経済の支えとなってきた輸出が停滞し、ウォン安がさらに深刻化している。1ドルあたり1400ウォン台が当たり前になる「ニューノーマル」(新しい普通)時代になれば、韓国経済に危険信号が灯ると懸念されている。

エムピードクターによると、この日の為替相場は午後3時30分時点で前取引日の終値より3.7ウォン下がった1ドルあたり1385ウォンで取引を終えた。取引中には一時1391.5ウォンをつけ、7月3日の取引中に1391.9ウォンの最高値をつけて以降、約3ヶ月ぶりに最高値に近づいた。9月末には為替レートは取引中に1ドルあたり1303.4ウォンまで下がっていた。しかし10月に入ってから為替相場は3日を除いて連日して上昇し、1390ウォン台まで急騰していた。つまり1ヵ月も経たないうちに100ウォン近く上昇したことになる。

国内外の不安要素がいずれもドル高ウォンをあおる形になっている。米国の大統領選挙が1週間後に迫る状況でトランプ前大統領の当選可能性が高まり、「トランプトレード」(トランプ氏が当選した際に恩恵を得られる資産に対する投資)現象により安全資産であるドルに資金が偏る傾向が目立っている。

トランプ氏が大統領に当選した場合、20%の普遍関税を課すという公約に従い、市場では米国の大規模国債発行の可能性について懸念されている。また、貿易相手国に対する大規模な関税の賦課はインフレ要因になる。これに伴い金利が上昇すれば、米国の金利据え置きにつながりかねず、ドル高を煽ることになる。

また、日本の政局不安も重なっていることで、ドルが支持されている。27日の日本の衆院選で政治資金スキャンダルの影響で石破首相率いる自民党が議会での過半数確保に失敗した。これに対し、日本銀行の金利引き上げが遠ざかるとの懸念に円が売られ、ドル買いを煽った。この日のドル/円相場は153円台にまで上昇し、円は3カ月ぶりの安値圏を記録した。

ここに来て韓国国内の輸出が鈍化する傾向が捉えられている。関税庁によると、韓国の10月1日から20日の1日平均輸出額は1年前に比べ1%の増にとどまっている。同期間基準で8月と9月にそれぞれ18.5%、18.0%増えていたことと比べると大幅に縮小した。

内需回復の勢いがまだはっきりしていない状況で、好調に推移していた輸出までが揺らぐことになれば、韓国政府の景気楽観論も修正が避けられないとの見方が強くなっている。実際に今年の第3四半期の実質国内総生産(GDP)の成長率は、韓国銀行の予測値である0.5%にはるかに及ばない0.1%に止まった。

米国の大統領選挙が終われば、短期的に為替レートが再び1ドルあたり1400ウォン台を突破する可能性が高い。しかし短期的な急騰にとどまらず、為替レートが上昇し続け、1400ウォン台を維持することになれば、韓国経済に悪影響が及ぶとする見方が強い。

iM証券のムン・ホンチョル研究員は「短期的に為替レートが1ドルあたり1400ウォンを再突破するかどうかを決める最も重要な不安要素は原油価格と米大統領選の結果」と述べ、「原油価格の急騰またはトランプリスクの現実化などにより1ドルあたり1450ウォンを突破する為替レートが現実化した場合には、株式市場と景気にリスクとして作用するだろう」と強調している。
Copyrights(C) Edaily wowkorea.jp 107