ことし7月末から続く北朝鮮の韓国に向けた拡声器放送に4か月間、日常を壊された住民たちがいる。北朝鮮との距離が約2キロメートルの江華郡松海面・ヤンサ(両斜)面・キョドン(校洞)面の住民だ。約4600人の住民は昼夜を問わず聞こえてくる拡声器放送のため言葉に言い表せない苦痛を感じている状態だ。拡声器から出る音やお化けの声、キツネ・野犬・カラスなどの動物の鳴き声、鉄の塊をこする音など奇怪な騒音が聞こえ続けるため、人だけではなく家畜までもが被害を受けており、対策が必要だとの声が出ている。
2018年の南北首脳会談を契機に中断していた韓国に向けた拡声器放送は、ことし韓国の脱北者団体による対北朝鮮ビラ散布に北朝鮮がごみ風船の散布で対抗したことをきっかけに再開された。韓国政府が北朝鮮へ向けた拡声器放送を再開したことで、北朝鮮も再び拡声器放送を始めた。
ひどい騒音に苦しむアンさんは国会国防委員会の国政監査にも参考人として出席した。当時、アンさんは「放送の騒音で日常は壊された。娘は口に口内炎ができ、息子も午前3時まで眠れない状況にもかかわらず、何もしてくれない」とし、政府関係者の前でひざまずいた後、涙を流しながら対策を訴えた。
これを受け、国防部(防衛省に相当)のキム・ソンホ次官は、「早い時期に地域住民が肌で感じられる方案を進めている」とし、「地域住民がおっしゃったとおりに騒音関連の専門家を現場に送ることを検討し措置を取るようにする」と答えた。
インチョン(仁川)市も早急に専門機関を通じて騒音被害の強度と規模を正確に測定し、住民の心の健康支援事業などを展開すると明らかにした。ただ、住民は「まだ解決をしようとする(直接的な)動きはない」と不満を表している。
専門家らは南北国境付近で苦痛を感じている住民に経済的な補償など多角的な解決策を迅速に提示すべきだと指摘した。サンジ(尚志)大学軍事学科のチェ・ギイル教授は、「韓国に向けた拡声器放送はどうにかして韓国の国民に苦痛を与えようという北朝鮮の心理的なテロだと言える」とし、「テロの目的は南南対立を誘発させることだが、北朝鮮のフレームに乗せられないためにも国境付近の国民の被害補償に政府が積極的で迅速に対応すべき」と批判した。
Copyrights(C) Herald wowkorea.jp 85